ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ



「馬鹿なことをお言いでないよ!
わしゃ、人食いなんかじゃない。
ただ、人間の肝や心臓や目玉を魔法の材料に使うだけだ。」

「えっ!?そんなものが材料になるのかい?」

(驚くポイントが違う!)
ヴェリエルはその想いを心の中で叫んだ。



「あぁ、特別な魔法を使う時にな。
それにわしは人を殺したこともないぞ。
材料を取るのは、命を落とした者からだけじゃ。
ま、ギリギリの場合もあるにはあるがな…
わしはそんな野蛮で残酷な魔女ではないんじゃ。」

「でも、あの森はわざと迷うように作られてんじゃないのかい?」

「それはそうじゃが…」

老婆は少女のようにはにかんだ。



「ま、そんなことは良いけどさ、魔女なら料理くらい魔法で作れないのかい?」

(そ…そんなことって…)



「魔力を無駄なことに使うのは愚かな魔女じゃ。
料理くらい、自分でせんことには身体もなまってしまうからのう。」

(自分でやってないじゃないか!)



「あ!!良いもんがあった!」

アルルが立ち上がり、棚の酒瓶を取り出した。



「こりゃ、それはわしの大切な酒じゃ!」

「料理が出来るまで飲んで待ってようじゃないか。」

「もう…本当に勝手なんじゃから…
あ、グラスはそこじゃ。」

「ヴェリエル!グラス二つ!」

「は、はいっ!」

(自分でやれよ、自分で…)



「はい、どうぞ!」

ヴェリエルは心の中の想いをひた隠し、満面の笑みをたたえテーブルにグラスを置いた。



「奇妙な出会いにかんぱーい!」

「ほいほい。」

サンドラも酒好きらしく、グラスを合わせる顔は意外と機嫌の良い表情をしていた。



「うまい!この酒すごくうまいよ!」

「わかるか?これはなかなか手に入らん銘酒なんじゃ。」

「うん、これは本当にうまいよ!」

アルルは上機嫌で酒を飲み、サンドラも、アルルの早いペースに負けずぐいぐいとあおる。
そのうちに、クラウドの作った料理を運びこまれ、アルルはそれを頬張りながらますますテンションを高めていく。



「カルフ様、お食事ですよ。」

クラウドはぐったりとしたカルフの両肩を後ろから掴み、気合いを入れる。



「はっ!」

「うっ!」

ようやく意識を取り戻したカルフは、ぼんやりとした表情であたりを見回した。


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