ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ



「あぁ〜、疲れた。
足が痛くてたまんないよ…
おなかもぺこぺこだ。
あ、ばあさん、泊めてもらうお礼に野菜をあげるよ。
クラウド!」

アルルは、長椅子に寝かされたカルフの袋を顎先で示した。



「ご老人、これをどうぞ。」

「わしはまだ泊まって良いともなんとも言うとらんのに…」

老婆はぶつぶつと文句を言いながらも、差し出された野菜を受け取った。



「わしは腰が痛いんじゃ。
食事の用意はあんたらがやっとくれ。
もちろん、わしの分も作るんじゃぞ。
さ、こっちへ。」

老婆は、クラウドを台所へ案内した。



「普通じゃない…普通じゃない…」

カルフは野菜の甲羅を取られ長椅子に伸びたまま…心の傷からいまだ立ち直れないヴェリエルは
その隣でがっくりとうな垂れ、アルルはテーブルを叩き食事の催促をする。



「おまえさん…なんであんな我が侭なエルフのおなごと一緒に旅をしとるんじゃ?
もしかして……何かの修行か?」

「いいえ…あの方はああ見えて実は…
いえ、なんでもありません。
ご老人、そちらでお待ち下さい。
料理なら私が作りますから。」

「確かにあんたはなかなか良い手付きをしておるな。
それじゃあ、頼むとするか。
そこの、肉や肝も使って良いからな。」

「はい、ありがとうございます。」



「あ、ばあさん、料理は?」

居間に戻った老婆を待ち構えたようにアルルが声をかけた。



「料理ならあんたの仲間が作っとる。
あんたも少しは手伝ったらどうなんじゃ?」

「やだよ。私はさんざん歩いて疲れてるんだから。
そんなことよりも、ばあさん、あんた、なんでこんな所に住んでるんだい?」

「ばあさん、ばあさん言うな!
わしには、サンドラって名前があるんじゃ!」

その言葉に、ヴェリエルの肩が不意にびくんと波打った。



「サンドラ!?…サンドラって、まさか…」

「なんだ?あんた、このばあさんを知ってるのかい?」

「知ってるわけじゃないけど…旅人が話してるのを聞いたことがある。
迷いの森の魔女サンドラは、森に入った人間を食うとかなんとか…」

そう言ったヴェルエルの声は震え、その瞳は恐怖の色に染まる。


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