ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ



「ここはもしかしたらやばい森なのかもしれないね。」

「やばい…?
……と、申しますと…?」

アルルの呟きに、クラウドが質問を投げかけた。



「やばいはやばいだよ。
ほら…よくあるだろ?
迷いこんだら二度と出られない…的な…
ここってそういう森なんじゃない?」

平気な顔で恐ろしいことをさらっと言うアルルに、クラウドとヴェリエルは不安げな顔を見合わせる。



「こんなこと、いつまで続けてても埒があかない。
……ちょっとあんた…
このあたりの様子を上から見ておいで。」

「上って言っても僕はそれほど高くには…」

「気合いだよ!気合いを入れるんだ!あんた、男だろ!」

アルルは力を込めて、思いっきりヴェリエルの背中を叩く。



「は、はいっ!」

叩かれた背中の痛みを噛み締めながら、ヴェリエルは顔をしかめ、空へ向かい全力で羽ばたいた。




「わ!」

アルルの気迫に押されたのか、ヴェルエルの身体はいつもより高い位置まで浮かぶことが出来た。



「ほらごらん。気合いさえありゃあなんとでもなるんだ。
えっと…この蔓を持って行くんだよ。
そして、何か発見したらこれを引っ張って合図を送るんだ。
わかったね!?」

「は、はいっ!」

ヴェリエルは手渡された蔓を持って高い木々の上をゆっくりと進んで行く。



「クラウド、そこらの蔓を取って繋げておくれ。」

アルルとクラウドは、せっせと蔓を取って来てはそれをヴェリエルの蔓に繋ぎ合わせた。







「あいつ…どこまで行ったんだろ…」

「何かあったのかもしれません。
蔓を辿って見に行ってみましょうか。」

心配したクラウドが立ちあがったまさにその時、蔓に動きがあった。




「やっと来たか!
クラウド、カメのことを頼む。」

「お任せ下さい。」

クラウドは、死んだように伸びているカルフをひょいと背中に担ぎ上げた。



蔦の示す方向へ歩いて行くと、そこは深い茂みになっていたり、浅い川を渡るという過酷な道程になっていた。
幾多の困難を踏み越え、さらに進んで行くと、やがて木陰に身を潜めるヴェリエルの姿が二人の目に映った。

「ヴェリエル、なにかみつけたのかい?」

「しっ!」

口許に人指し指をあて、アルルの言葉を制したヴェリエルは、ある方向をそっと指差す。
その先には、明かりの灯る小さな家があった。


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