初仕事4
「この……ぶくぶく
大馬鹿やろう!……ぶくぶく
許さねぇぞ!!……ぶくぶく」
町の関係者達は溺れながらもルディに厳しい視線を投げかける。
(なんでこんなことに……
まずい…!これはものすごくまずい状況だぞ…!!)
「カパエル、逃げるぞ!」
ルディがカパエルの背中に乗った。
「え?何?何?なにしてるの?」
「おまえはかっぱだから、泳ぎは達者なんだよ!
さぁ、行くぞ!!」
「え…ええ〜〜〜?」
躊躇いながらもルディに言われるがままに手足を動かすと、カパエルの身体はすごいスピードで洪水の中を進んで行った。
「うわ、僕って、すご〜い!」
「つまんないこと言ってないで、早く逃げろ!泳ぐんだ!」
「はぁ〜〜い!」
カパエルは泳ぐ!すいすい泳ぐ!泳いで泳いで泳ぎまくった。
*
「もう大丈夫だろう……」
町はとっくに見えなくなっていた。
追いかけてくる者ももちろんいない。
「ふぅ〜、ようやく逃げ切ったか……」
「ねぇ、ルディ…なんで僕達逃げてきたの?」
「なんでって……なんでもだ!!
っていうか、逃げなきゃどんな目にあわされてたかわかんないんだぞ!
おまえみたいにモタモタしてたら捕まってかっぱ汁にされてるぞ。」
「えっっ?!か、かっぱ汁?」
わかりにくいが、カパエルの顔色が明らかに変わった。
「ありがとう、ルディ!
君は僕の命の恩人だよ!」
ルディに抱きつき、感激の涙を流すカパエルに、ルディは冷酷な顔でにやりと笑った……
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