第4章…大事件!1
「畜生!
あのヘボ魔術師のおかげで町は無茶苦茶だ!」
「しかも、カパエルまで連れていきやがった!
あんなによく出来たかっぱはめったにいなかったのによぅ…」
「本当だな。
カパエルには戻ってきてほしいもんだな…
カパエルがいてくれたらずいぶん助かるのに…」
そんなことを話しながら町の人々はめちゃくちゃになった町の片付けを始めるのだった…
*
「ねぇ、ルディ…これからどこに行くの?」
「そうだなぁ…
とにかく、出来るだけあの町から離れよう。
町の人達はきっと怒ってるだろうし、おまえが捕まってかっぱ汁にされたら大変だからな。」
「ルディ…そんなに僕のことを考えてくれて…
ありがとう!
君は本当に良い人だね。」
カパエルは瞳をうるうるさせながら、ルディに礼を述べる。
「よし!じゃあ、川に沿って進むことにしよう!」
ルディのその提案は偏に歩くのがかったるかったからである。
川ならカパエルの背中に乗っているだけで良いのだから…
カパエルは相変わらずの猛スピードでどんどん泳いで行く。
ルディが背中で眠ってる間もカパエルは泳ぐ。
ただ、ひたすらにスイスイ泳ぐ…
「あ……町だ…」
夜が明け、やがて昼になり、そしてまた次の夜になった頃、カパエルとルディはある町に辿り着いた。
「ここはどこだ?」
「地図がないからわからないけど…あの町からはもうずいぶん離れたと思うんだ。
とりあえず寄ってみる?」
「そうだな。」
二人は町の中へ入っていった。
「うわ〜〜っ!かっぱだ!」
「これっ!近寄っちゃだめよ!
何されるか、わからないわ!
悪い病気を持ってるかもしれないし…
しっしっ!こら!かっぱ!あっち行け!!」
町の人々の態度は冷たい。
(ほら見ろ。
これでこそ、かっぱの本来の扱われ方だ。
俺もずっとこんな目にあってきたんだからな。)
苛められるカパエルを見て、心の中でちっちゃく拍手をするルディだった…
「カパエル、おまえは町の外で待ってな。
俺が、働ける所がないか聞いて来てやるから。」
「ルディ、いつも迷惑ばっかりかけてごめんね。」
「良いってことよ。俺は優しいのと魔術だけが取り柄みたいな男だからな…」
「ルディ…」
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