初仕事3


「お集まりの皆さま、大変お待たせいたしました!
お楽しみの花火大会の始まりです〜!」

その言葉に、町全体がどよめくような拍手と喝采がわきあがる。
気分を良くしたルディは呪文を唱え、両手を交互に振り上げる。
その度に、色とりどりの火花が空を彩って、観客たちの目を楽しませる。



「わぁ〜!綺麗!
やっぱりルディの魔術はすごいや!」

「本当にたいした腕じゃないか。
宿屋からは使えない奴だって聞いてたけど、実はすごい魔術師だったんだな!」



(へへっ、どんなもんだい)



調子に乗ったルディは、次から次に火の魔術を披露する。

観客達は、美しい夜空の火の宝石に感嘆の声を上げ続ける。



「ようし、ルディ、もう十分だ。
最後に景気の良いやつを一発あげてお開きにしよう。」

「わかった!」



(おっしゃあ!ここでものすごいのを打ち上げてやるぜ!
そしたら、『花火大会を救った偉大な魔術師』な〜んて見出し付きでどどんと新聞に載ったりして……
あんなカパエルとは比べ物にならないほどの人気者になること、間違いなしだな!)

ルディは両手を組み、先程とは比べ物にならないほどの気合いをこめて呪文を唱えた。
モテたくてたまらない男の執念のこもった魂の魔法が発動されたのだ。



その時だった。

ゴゴゴゴゴ……という低い轟音と共にあたりの空気が震動し、激しい爆発音が響き渡った。

その瞬間、漆黒の夜がまばゆい太陽の光に包まれ、空が虹色に輝き出したのだ。

観客は声も出せず、夢のようなその光景にみとれていた。
やがて、その光の玉は四方に弾け飛び、まるで隕石のように空から落ち始めた!



「ぎゃーーー!!」

町の至る所で火の手があがり、叫び声をあげながら客達は逃げまどう。



「この馬鹿〜〜!
やりすぎなんだよっ!
ま、町が燃えちまう〜〜!!」

「ルディ!
水の魔術で消すんだ!」

「わ、わかった!」



まさか、こんなことになろうとは……
ルディはあわてて水の呪文を唱え始めた。

ゴゴゴゴゴ……

不気味な音と共に、今度はどこかからものすごい濁流が流れてくる。



「ぎゃああああ〜〜〜!」

水の魔術のおかげで無事に火は消えたが、濁流に飲まれ人々や建物までもがまるで木の葉のように流されて行く。


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