初仕事2


(チッ、なんなんだよ。
俺がかっぱの時なんて、石を投げられたことはあったけど女の子にモテたことなんてなかったぞ。
これは、一体、どういうことなんだ!?)



カパエルの人気は留まることを知らず、ついには、ローカル紙からの取材までもがやって来た。

大勢の記者に囲まれ、誇らしげにインタビューに答え、レンズの前でポーズを取るカパエルに、ルディはめらめらと嫉妬の眼差しを向ける……



(ぢぐじょ〜!
なんで、あいつばっかり…!)



次の朝、早速、ローカル紙が配達された。
カパエルの記事は第一面に大きな写真と共に掲載されていた。

それを見た観光客達が、宿屋とレストランに押し寄せる。

いまや、カパエルはこの町のスーパーアイドルとなっていた。



(なんでぇ、なんでぇ、カパエルばっかりモテやがって…!
くそー!あんな魔術、使わなきゃ良かった…!)







……やがて、夜がやってきた。



「あ、ルディ、ここにいたの?
もうじき花火が始まるから、ちょっとだけ見てきて良いって。
でも、みつからないようにしなきゃ…
また女の子達に囲まれちゃったら面倒だもん。」



カッティーーーン!

ルディはぷるぷる震えながらも自分自身を総動員した理性で必死に押さえ込んだ。



「そ、そうか…
おまえも大変だな……」

葉を食いしばりながら、ルディは懸命に平成を装う。




カパエル達が木陰に隠れて花火を待っていると、町の関係者達が集まってなにやら深刻そうに話しあっているのが見えた。



「あれ?なにかあったのかな?」

「ほっとけ、ほっとけ。」

ルディのそんな言葉を聞かず、カパエルは彼らに声をかけた。



「あの〜…どうかしたんですか?」

「あ、カパエル!
おまえのおかげで今年はいつもの年の三倍の客が集まった。
本当にありがとうよ!」

「いえいえ…僕なんて……」

「ところが、最後の最後でうまくいかないもんだな…
ここに運んで来る途中で、花火を川に落としてしまってな…
これじゃあ、花火は打ち上げられねぇ…
花火を楽しみにしてる客がこんなにいるってえのに、なんてことだ…!」

「それは困りましたね…
………あ!!そうだ!!」

カパエルは景気良く手を打った。



「どうした?
なにか良い案があるのか?」

「ルディ!
君の火の魔術を使って、花火を打ち上げられるんじゃない?」

「花火〜?」

「そうだよ!
君の腕なら、いろんな色の火を打ち上げることくらい簡単なんじゃない?
皆さん、このルディはものすごい魔法が使える魔術師なんです。」

町の者達は、カパエルの話をすぐには信じられないようだった。



「ま、そんなことなら、確かに簡単に出来るけどな。」

「ほ、本当か!?
じゃ、頼むぜ!」

藁にもすがる想いで、町の者達はルディに花火を依頼した。



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