出会い7


「あ!ルディ!
あそこに町があるよ!」

しばらく歩くうちに、ルディとカパエルは小さな町をみつけた。



ひそひそ…ひそひそ…




「……なんか、皆が君のことを見てるよ。」

「違うだろ!
おまえのことを見てるんだよ!」

「そうなの?
あ、あそこに宿屋があるよ。
宿屋なら仕事もありそうだし、住み込みで働かせてもらえるんじゃない?」



(無理、無理。かっぱなんて連れてたら、雇ってなんかもらえるもんか。)

ルディはそんな想いを抱えつつ、説明するよりも体験させた方が話が早いと、カパエルに言われるままに宿屋へ向かった。



「あの〜…」

「いらっしゃい。お泊りですか?
……げっっっ!かっぱ!?
……お客さん、申し訳ないけどうちは大きなペットはちょっとねぇ…
犬や猫程度なら良いんだけど……」

予想通りの主人の言い分に、ルディは、そっと俯いた。



「違うんです!
僕はペットじゃありません。
僕達は魔術の修行をしている旅の者なんですが、お金がないのでこちらで住み込みで働かせていただけないかと……」

カパエルは少しも臆することなく、自らのことを主人に話した。




「か、か、か…かっぱがしゃべった…!!」

「ご主人、驚かないで下さい。
僕達、なんでもしますからどうかよろしくお願いします!」

「まぁ、確かに、今、人手がほしいとは思ってた所なんだが、いくらなんでもかっぱはねぇ……」

「僕達、一生懸命頑張りますから!」

「そう言われてもなぁ……だいたい、おまえ、何が出来るんだ?」

「一通りなんでも……」

「なんでもだぁ?
かっぱのくせにでかいことを言いやがるな!
よし、そこまで言うのなら、料理を作ってもらおうか。」

「わかりました!」

カパエルは案内された厨房に入ると食材を吟味し、手際良く料理を作っていく。



「し、信じられん!
野菜を刻む手が速過ぎて見えない……」

主人は、調理中のカパエルを呆然とした様子で見守った。




「はい、こんなもんでいかがでしょうか?」

カパエルは温かい湯気のあがる料理を主人の前に差し出した。
主人はそれを恐る恐る口に運んだ。



「こ、これは…!
なんという美味さだ…!すばらしい!
しかも、何という繊細な盛り付け…!
……実は、昨日、うちの料理人が急用が出来ていなかに帰ってしまってな。
うちは『料理のうまい宿屋』として評判の宿屋だから困ってた所なんだ。
これなら十分やっていける…!
いや、前の料理よりはるかにうまい!
かっぱのくせに、すごいな、おまえ!」

かくしてカパエルとルディは宿屋で住み込みで働けることになったのだった。


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