出会い5


「か、か、か、かっぱく〜ん!
忘れてるよ〜!魔術を解いてないよ!
僕、まだ、かっぱのままだよ!」

かっぱのルディはルディのかっぱを追い掛けた。



「はぁ、はぁ、はぁ……
やっと追い付いた。
君、意外と足が早いんだね。」

「どうしたんだ、おまえ。
そんなにあわてて……」

「やだなぁ、かっぱくんったら。
魔術を解く前に行っちゃうんだもん。」

「……解かないよ。」

「………え?」

一段と低い声で発せられた、思いもよらぬ一言に、かっぱのルディは小首を傾げる。



「今日からおまえがかっぱのカパエルで、俺が人間のルディなんだ。
さっきおまえが言った通り、かっぱではこの世の中は生きにくい。
いくら魔術が使えたって、いくら言葉がしゃべれたって、所詮、かっぱはかっぱなんだ。
もう、俺、かっぱはやなんだ。
だから、この魔術を習得した。
人間になって楽しく生きていくためにな。
本当はもっと年相応の美青年になりたかったんだけどさ……」

「……僕って、そんなにフケてる?」

「間違いない!」

ルディはがっくりと肩を落とした。



「とにかく、そういうことだからさ。
じゃあな!」

「そ、そ、そんな、待ってよ!
ぼ、僕、かっぱなんてしたことないし、どうしたら良いのかわかんないよ。
お願いだから、魔術を解いてよ!」

「残念だがそれは無理だな。
どうしてもかっぱがいやなら自分で修行して、魔術を解く方法を探すんだな。」

「そ、そんなこと無理だって〜〜〜!」

かっぱのルディはか細い声で弱音を吐いた。



「だめなもんはだめ!」

「そんな、ひどいよ〜〜!!あんまりだよ!!
……じゃ、せめて僕も一緒に連れていってよ。」

「やだよ。
かっぱなんて連れてたらおかしな奴だと思われるじゃないか。」

ルディのかっぱの非情な態度に、かっぱのルディもついに怒りを爆発させた。



「……あーーーーーっそ。
なら、いいよ。
僕、勝手についていくから。
自慢じゃないけど、僕は我慢強いっていうかかなりしつこい性格だから、君がどこへ行こうと諦めないから…!
執念深いから、死んでも化けてくっついてやるんだから…!」

ルディのかっぱは、かっぱのルディの真剣な眼差しにたじろいだ。



(……まずい。
これは本気と書いてマジの目だ…)

「か…勝手にしろ…!
だけど、言っとく。
『ルディ』は俺で、おまえは『カパエル』だ。
わかったな。」

「うん、わかった!」



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