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「こんな時に申し訳ないのですが……あと一つだけ聞かせて下さい。
あなたは……お兄さんのおっしゃったことを信じてらっしゃいますか?
その…亡くなったお義姉さんが生き返られたということを……」

和彦さんがそう質問すると、妹さんは何も言わずにその場から立ち上がり部屋を出た。
今の質問に気分を害したのかと思っていたら、それからすぐに戻って来て、俺達に黒い携帯の画面を開いて差し出した。



「これは、まさか……?」

そこに写っていたのは中年の男女。
女性は、顔色が悪く男性に寄りかかるようにしていた。
おそらく、男性が手を伸ばして自分で撮ったものだと思う。
ほとんど二人の胸から上からしか写っていなかったから。
二人はとても哀しげな…だけど、どこか満足したような切ない笑みをたたえていた。



「兄と……義姉さんです。」

「ま、まさか……
それは、カリスタリュギュウス流星群の…後のものですか?」

和彦さんの質問に、妹さんは小さく頷いた。



「はい。
兄達がいなくなったその日に撮られたものです…」

「そ…それでは……!」

和彦さんが携帯に手を伸ばそうとした時、妹さんは、その画像を俺達の前で突然消去した。



「な、なんてことを!
今の画像はとても重要なもの……
お義姉さんが生き返っていたという確たる証拠じゃないですか!!」

俺も、今の妹さんの行動には驚いて何も言えなかった。
どうしてそんなことをするのか、俺にはまるで理解出来なかった。



「……そんなこと、あってはいけないんです!
死んだ人が生き返っても…それは私達に不幸をもたらしただけ。
……兄さんは、義姉さんを失うことにはもう耐えられなかった……
それがどれほど辛い事かを知っているからこそ、もう二度とは体験したくなかったのでしょう……
だから、きっと二人で……
そんな悲しい奇蹟なんて……起きてほしくはなかった…!」

妹さんは、今まで押さえこんでいた感情が一度に噴き出したかのように、大きな声をあげて泣き始めた。
和彦さんは妹さんの心中を察したのか、大切な画像を消した事については何も言わずに、そんな妹さんの背中を優しくさすり続けてた。
俺は、何もすることが出来ず……
ただ、妹さんの姿になんとなく自分のことを重ねて…ぼんやりとみつめていた。

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