「わぁ!フレイザー、どうしたの、その剣!」

二人が部屋に入るなり、エリオットが声をあげた。



「エリオット!気が付いたのか!」

「うん、もう大丈夫だよ。
心配かけてごめんね。」

「俺こそ悪かったな。
魔法で体力が消耗するなんて知らなくてさ…」

「ううん、言い出したのは僕だもの。
それに、僕だってそんなこと知らなかったんだから。」

「おいおい、エリオット。
知らなかった…じゃなくて、忘れてただろ…?」

「え…?あ、あぁ、そうだったね。」

ダルシャの指摘に、エリオットはぎこちない微笑で返した。



「そうだ、皆、聞いてくれ!
俺、これからダルシャに剣を習うことに決めたんだ!」

フレイザーはそう言いながら、腰の剣を指差した。



「それで、その剣を…」

「せいぜい頑張ってくれよな!」

ラスターに背中を叩かれ、フレイザーは少し照れながら頷いた。







エリオットの体調を考え、一行はそれから三日程、ゴーシュリーの町に滞在し、その間、フレイザーはダルシャに剣の手ほどきを受けた。



「ようし、フレイザー。
今日はここまでだ。」

「ダルシャ、もう少し教えてくれよ。」

「もう暗くなってきた。
怪我でもしたら大変だからな。
ここまでにしておこう。」

フレイザーは渋々その言葉に従い、剣を鞘に収めた。



「かなり気合いが入っているな。」

「俺も不思議なくらいだ。
発掘以外にこんなにのめりこんだことはない。」

「……発掘?」

「い、いや…な、なんでもないんだ。
そ、それで、どうだ?
俺、上達してるか?」

「上達って…まだ三日だぞ…
でも、確かに筋は悪くない。
覚えは早いから、君はきっと良い剣士になれるぞ。」

「俺が…剣士…?」

薄暗くなった道を、二人は話しながら宿へ戻って歩いて行く。
何時間もの剣の稽古に、フレイザーは少しも疲れた様子も見せず、むしろその顔はまだ物足りない様子だった。
剣の魅力にとりつかれたフレイザーは、この三日間が楽しくてたまらなかった。
稽古を始めた次の日こそ筋肉痛に悩まされたが、それもすぐに治まり、日を追うごとに剣が自分の手になじんでいくのを実感していた。


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