「何を考えてるんだ?」

「……双子石の使い道のことだ。」

「双子石の?
だ、だって、あの石は願いの解除にしか使えないんだろう?」

「それだけじゃないさ。」

「双子石に他の力があるのか!?」

目の色を変えたフレイザーに、ダルシャはやれやれといった風に肩をすくめる。



「よく思い出せ。
なぜ、この石がここにあるかを…」

「なぜって…それは、アルディがあんたにくれたんだろ…?」

フレイザーの答えに、ダルシャは少し苛立ったような視線を向けた。



「君は、本当にカンが鈍いんだな。
セリナは、この石に反応してそれで引き寄せられただろう?」

「そ、そうだけど…それが、なにか関係あるのか?」

その言葉に、ダルシャの眉間の皺は一層深く刻まれた。



「つまり、セリナと同じく願い石の巫女である彼女の母親もこの石に引き寄せられるということだ。
ならば、この石を持ち歩いていれば、セリナの母親をみつけられるかもしれないだろう!」

「なるほど!そいつは気が付かなかった!」

フレイザーは威勢良く手を叩いた。



「……ただ、それにはリスクもある。
もしも、セリナの母親をさらった奴らがとんでもなく力のある者ならば、今度はセリナまでが連れ去られてしまう可能性がある!」

「そりゃあ、そうだな。
だから、戦力がほしいってことか?」

「それは少し違うな。
私は、準備が出来たら、セリナとは別行動をしようと考えている。
そうすれば、セリナを危険な目にあわせることはない。」

「それは良い考えだが、まさかあんた一人でやる気じゃないだろうな?」

「当たり前だ。
私が奴らと戦っている間に、セリナの母親を助け出す役目をしてくれる者が必要だからな。」

「じゃあ、その役目を俺に?」

「いや、旅には大人が一人付いてた方が良い。
だから、ラスターに来てもらいたい所なんだが、そうなるとなにかあった時、エリオットの魔法だけに頼ることになる。
それもまた不安なのだ。
しばらく稽古をしてみて、君がどのくらい伸びるかだな。
見こみが無さそうなら、君についてきてもらって、ラスターにはセリナやエリオットと同行してもらうことにする。」

「すべては俺の腕次第ってことか…」

フレイザーは、小さな声でそう呟きながら腰の剣に視線を落とした。


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