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「ほら、見ろ!」
ラスターが誇らしげに指差す先には、小さな家が建っていた。
「すまなかったな、君を疑って…」
ラスターは、素直に謝るダルシャを鼻で笑った。
「さぁ、行こうぜ!」
訪ねた先は、やはり薬屋のダグラスの家だった。
扉が開かれた途端、なにやらよくわからないにおいが五人の鼻腔をくすぐった。
最初は突然の訪問にどこか戸惑っているように見えたダグラスも、ダルシャがリュシーからの土産のチェリーパイを差し出すと、その表情は突然軟化した。
「ダグラスさん、実は、私達は願い石を探しておりまして…」
「道具屋のおやじから、あんたが願い石のありかを知ってるって聞いて来たんだ。」
「願い石…とな?」
ダグラスのにこやかな顔が一変した。
「皆、どうしてあんなもんを欲しがるんじゃろうな。
しかも、あんたは貴族だろうにその上まだなにかほしいものがあるのかい?」
「いえ、私ではなく、この子のために…
セリナ、話しても良いかい?」
セリナは頷き、ダルシャが代わりに話し始めた。
ダグラス老人は、じっと話に耳を傾ける。
「……事情はよくわかった。
正直言って、わしはあんなものはどうでも良いんじゃ。
しかし、だからと言って、つまらない願い事に使われたんじゃ、曾爺さんに申し訳が立たんからな。
ま、そういう事情なら良いとは思うが、しかし、あれをどうやって取って来るかが問題じゃ。」
「どういうこと?」
「どうじゃ?
良かったら、今夜はここに泊まっていかんか?
詳しいことは夕食の時にでもゆっくり話そう。」
五人は、ダグラスの申し出を受けることにした。
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