「司祭ですが、そういう意味の資格ではないのです。
つまり…私は、女性を愛し子供まで作って修道院を離れた身ですから…」

「なるほど…そういうことでしたか…
しかし、もったいないですね。
せっかく長い間苦しい修行をされてこられたのに…
また戻ることも可能なのではありませんか?」

「いえ…私はもう…」

私には、もうそんな資格はない。
あの者と手を組んだ時点で、私は神に仕える資格は失ったのだ。
だからこそ、大切なロザリオも処分した。
いくら改心しようとも、二度と再び赦されることはないと思っている。



目指した町までには小さな町を二つ程通り過ぎた。



「いよいよ、明日は町に着くな。」

「そうそう、先程買い物に行った時に聞いたのですが、隣の町には闘技場があるそうなんですよ!」

「闘技場?
それじゃあ、そこでなにか仕事がみつかるかな?」

「あら、もしかして、リュックも出場するつもり?!」

「クロワさん、馬鹿言わないでくれよ。
俺は、闘技場に出る程、力はないよ。
マルタンはどうなんだ?」

「私も、それほどの実力はないさ。」

「いや、マルタンは相当強かったぜ。」

リュックはクロワの冗談を真に受けているようだ。



「闘技場に出るような者は、特別腕に自信がある者だろうからな。
私のような素人では、きっと太刀打ち出来ないさ。」

「そういう施設があるのなら、人もたくさん集まるでしょうし、薬も売れそうですね!」

「あ!そういう場所なら怪我人も多く出るだろうし、先生の勤め口もすぐにみつかるんじゃないか?
クロワさんと先生はきっとすぐにでも働けそうだな。
俺達も良い働き口がみつかると良いがな…」

「大丈夫さ、君はいつだってすぐに働き口をみつけてくるじゃないか。」

「今度もそうだと良いんだけどな…」







「なぁ、マルタン、今度の町には闘技場以外になにかあるのかな?」

「さぁ…行ってみないとわからないが…
今回はやけに仕事の事を気にしてるんだな。」

「だってさ、医者っていうのは給料も良いんだろ?
俺達の方が先生より稼ぎが悪かったら、なんだか立場がないじゃないか。」

「医者は専門職なんだから仕方ないじゃないか。
そんなこと、張り合う必要もない…」

「そりゃそうだけど…俺はやっぱりいやだな。
今回は、出来るだけ給料の良い所を見つけたい!」


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