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「司祭ですが、そういう意味の資格ではないのです。
つまり…私は、女性を愛し子供まで作って修道院を離れた身ですから…」
「なるほど…そういうことでしたか…
しかし、もったいないですね。
せっかく長い間苦しい修行をされてこられたのに…
また戻ることも可能なのではありませんか?」
「いえ…私はもう…」
私には、もうそんな資格はない。
あの者と手を組んだ時点で、私は神に仕える資格は失ったのだ。
だからこそ、大切なロザリオも処分した。
いくら改心しようとも、二度と再び赦されることはないと思っている。
目指した町までには小さな町を二つ程通り過ぎた。
「いよいよ、明日は町に着くな。」
「そうそう、先程買い物に行った時に聞いたのですが、隣の町には闘技場があるそうなんですよ!」
「闘技場?
それじゃあ、そこでなにか仕事がみつかるかな?」
「あら、もしかして、リュックも出場するつもり?!」
「クロワさん、馬鹿言わないでくれよ。
俺は、闘技場に出る程、力はないよ。
マルタンはどうなんだ?」
「私も、それほどの実力はないさ。」
「いや、マルタンは相当強かったぜ。」
リュックはクロワの冗談を真に受けているようだ。
「闘技場に出るような者は、特別腕に自信がある者だろうからな。
私のような素人では、きっと太刀打ち出来ないさ。」
「そういう施設があるのなら、人もたくさん集まるでしょうし、薬も売れそうですね!」
「あ!そういう場所なら怪我人も多く出るだろうし、先生の勤め口もすぐにみつかるんじゃないか?
クロワさんと先生はきっとすぐにでも働けそうだな。
俺達も良い働き口がみつかると良いがな…」
「大丈夫さ、君はいつだってすぐに働き口をみつけてくるじゃないか。」
「今度もそうだと良いんだけどな…」
*
「なぁ、マルタン、今度の町には闘技場以外になにかあるのかな?」
「さぁ…行ってみないとわからないが…
今回はやけに仕事の事を気にしてるんだな。」
「だってさ、医者っていうのは給料も良いんだろ?
俺達の方が先生より稼ぎが悪かったら、なんだか立場がないじゃないか。」
「医者は専門職なんだから仕方ないじゃないか。
そんなこと、張り合う必要もない…」
「そりゃそうだけど…俺はやっぱりいやだな。
今回は、出来るだけ給料の良い所を見つけたい!」
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