「お〜〜い!」

「あ!リュックだわ!ここよ〜!」



月灯かりがあるので大丈夫だろうとたかをくくっていたのだが、あたりは意外にも暗かった。
クロワ達のランプの灯かりがなければ、彼女達がどこにいるのかもわからなかったかもしれない。



「やっと追いついた!」

「もうっ!リュックったら、どこに行ってたの?」

「マルタンの誓いが気になって、こっそり見に行ってたんだ。」

クロードはその言葉にくすくすと笑っていた。



「先生、どうしたんだよ。」

「いえ…なんでもないんです。」

「やっぱり先生のおっしゃった通りだったのね…
それで、マルタンさんの誓いは聞けたの?」

「それが、リュックが来たのは一足遅かったんです。」

「そうなんだ。だから、結局はわからず仕舞いなんだ。」

「それは残念だったわね。」

きっとこのことを聞かれると思い、あらかじめ、リュックとは口裏を合わせておいたのだ。
クロワのことを誓った等とは言えないのだから…



「マルタンさん、僕にはあなたの誓いがわかってますよ。」

「そうですか…」

「きっとあなたなら大丈夫ですよ。」

「ありがとうございます。先生。」

クロードが何のことを言ってるのかはわからなかったが、本当のことがわかるわけはない。
なんでも好きなように考えてもらえば良い。
私は特に肯定も否定もしないでおくことにした。



宿に着いた頃にはもう夜明けも近い時間になっていたため、私達はそのまますぐに眠りに就いた。



「それで、これからはどこへ行かれるんですか?」

次の日の朝食の場で、これからの行き先についての話し合いがなされた。



「そうだなぁ…
いつも行き当たりばったりだもんな。」

「いつもはどういう風に行き先を決めてらっしゃるんですか?」

「だから、たいていは行き当たりばったりなんだよ。
何か面白い話があればそっちに行くし、後は、金がなくなったらちょっと大きな町に滞在して金を稼ぐ…
そうだ!そろそろ金を稼がないといけない頃だから、やっぱり次は大きな町が良いんじゃないか?」

「そうね。
大きな町というと…」

クロワはテーブルの上に地図を広げた。


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