「こいつはすごいや!」

洞窟の中には、今でもワインの貯蔵されていた当時の棚や、樽が置かれていた。
棚には、埃をかぶった瓶が何本も積まれたままだ。



「そういえば、この屋敷の持ち主は葡萄畑も持ってたって話だ。
ここにはさぞたくさんのワインがあったんだろうな。」

「そうだな…
そして、さっき見た広間でパーティなんかやってたんだろうな。」

そういうリュックの頭には、華やかな当時のパーティの様子が浮かんでいるようだった。







「えっ!そんなに…
……そりゃあそうですよね。
こんな立派な屋敷ですもんね…」

その後、ルーカスの家に戻った私達は、屋敷の値段を聞いてひっくり返りそうになっていた。
フランクリンの遺した金は、その半分程にしかならなかったのだ。



「ここはずっと売れなかったんだろ?
それをやっと買おうって奴が出て来たんだ。
しかも、ステファンは元の持ち主の直系だし、ここまで来た経緯も話しただろ?
もう少しなんとかならないのか?」

「わしの一存ではどうにもならん。
ジョーンズさんに話してみるから、もう少し待っていておくれ。」

結局、値段のことはジョーンズ氏の返事待ちということになり、私達は宿に戻った。







「ええっ!
ブランドンさんが探してらっしゃったのは、あの屋敷だったんですか!」

その晩、私達はクロワ達に今日の出来事を話して聞かせた。



「みつかって良かったですね…!」

「それが、そうでもないんだよ。
金が全然足りないんだ。
今、屋敷の管理人が連絡を取りに行ってくれてる。
少しでも安くしてくれりゃあ良いんだがな…」

「そうですか…
では、これからの交渉次第ですね。
なんなら、僕が交渉しましょうか?」

クロードは、妙に自信ありげだ。




「先生、その節は、どうぞよろしくお願いします。
……しかし…あんな広いものだとは思っていませんでした。
仮に買えたとしても、住むのは私とステファンの二人です。
あんな大きな屋敷だと維持費にもけっこうかかりそうですし、一体、どうすれば良いのか…」

やっと長年の目的が果たせたと思ったら、また新たな問題が噴出し、ブランドンは途方に暮れている様子だった。


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