chase

 俺には、幼馴染みの同い年の女の子がいる。

 何をするにも一緒だけれど、俺はせっかち、彼女はマイペース。もちろん息が合う訳が無くて。いつも俺が「しょうがねぇなぁ!」と言いながら手を引く役だった。
 それを面倒臭いと感じる時ももちろんあったけれど、それが凄く彼女を守っている気分にさせるので、嫌いでは無かった。

 なのに──彼女は旅に出た事をきっかけに変わってしまった。

 いや、悪い方向ではなく、むしろ良い方向なのだが。マイペースな彼女がポケモン達のおかげで、バトルを勝ち抜けるようになったのだ。
 そうしてバトルを勝ち抜いていき、


 彼女は、チャンピオンとなった。


 それを聞いた時、俺は目の前が暗くなった。
 消失感、と言おうか。今まで守って来たものが消えてしまったような気持ちになった。

 俺は男で、彼女は女で、俺は女である彼女を守らないといけないのに、いつの間にか守られていたのは俺の方だった。
 それが自分にとって、かなり情けなくて。俺はその日からポケモン達とひたすら特訓をした。

 彼女に、少しでも近づけるように。


 そうしてやって来たのはポケモンリーグ。
 ようやく、本当にようやく、ここまで来る事が出来た。

「ナマエ、
 追い付いたぜ!」

 相棒のギャロップの毛並みに触れながら、視線の先にいる幼馴染みへと笑いかけた。

 するとナマエは自分のパートナーであるレントラーの頭を撫でながら、とても優しい瞳でこちらを見て、こう言った。

「──待ってたよ」



  ゲームのポケモンのキャラ、ずっと書きたかったので楽しかったです(*´ω`*)
 



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