「み、見つかんねぇ…あの女、一体何年何組なんだよ!?」
「ご苦労様だぜ…」
赤也は楓と玄関でばったり出会ってから、かれこれ一週間
しかし、それ以来楓に会うことはなかった
「1年でも2年でもなかったということは、3年!丸井先輩見たことないんですか!?」
「いいや、俺は知らねぇ…なんたって人数多いからな。仁王とかなら知ってんじゃねぇ?あいつ、いっつも女子に囲まれてるし」
「そうっすね、じゃぁ昼休みにでも聞いてみるっす!」
楓がまさか、仁王と同じクラスだということを二人は知らない
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「ねぇ、楓…なんか、あのワカメ頭…もといい切原赤也っていう2年の子あんたのこと探してるみたいよ…」
「え、あのワカメ頭君が?何で?」
「なんでも、楓のあの奇跡のジャンプをたまたま目撃してたみたいで気になるらしいわよ。」
はじめて聞く情報に、楓は頭を悩ませた
「結局、あの日以来楓の運動神経は普通だし…一体、何だったんだろうね?」
「本当よねぇ、夢でも見たのかしら?」
亜沙美と美香はとくにもう気にしていないようだったが、楓は気にしていた
なんせ楓はあの日以来、よくなった運動神経を隠していたのだ
つまり、急に人並以上になった運動神経がバレないように楓は気をつけて生活しているのだ
「たぶん、あたしたち寝ぼけてたんだよ〜」
楓がアハハと笑うと、二人もそうかもねと頷き笑った