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  12


秀麗と偽物の藍楸瑛、もといいこの国の王劉輝は翌日から二人は府庫でお茶をするのが日課になっていた

そして、その様子を影から静蘭と秀華が見守っていた

「秀麗ファイトです!!」

「お嬢様、そんなに身を乗り出したらお二人にバレてしまいますよ…!」

「は、はい…!」

物陰からちょこんと顔半分だけ出し様子を窺っていると一つの気配を感じ秀華はゆっくりと、静蘭は警戒しながらその気配を探った

「やぁ、秀華殿」

聞き覚えのある声にハッとした

「ほ、星宿さまっ!?また、お部屋を抜け出してきたんですか!?」

”星宿”と呼ばれた彼、静蘭は昨日秀華が言っていたことを思い出しハッとした

「紅南の…」

静蘭はすぐさま拝礼する

「よい、今はただの星宿だ…楽にしてくれ」

静蘭はですが…と渋ったが、頼むといわれては断るにも断れず渋々了承した

静蘭は顔を上げ改めて星宿の顔を見た

幼かった頃の顔つきは大人ぽっくなり、王としての威厳が垣間見えた

(おおきくなったな…)

マジマジと見つめすぎたのか星宿は首をかしげた

「私の顔に何かついているか?」

「い、いえ、そういうわけでは…」

少し様子がおかしい静蘭に、秀華は心配しながら様子を窺っていた

「ん…?そなた」

星宿が改めて静蘭を見た瞬間、ドクンと体がざわめいた



遠い遠い

幼いころの記憶


劉輝と一緒によく彼に甘えていた


「――――にうえ」


「―――あにうえ!」


「――い――あにうえ」


「せい―――あにうえ」


「せいえんあにうえ」


「静苑兄上!!!!」


星宿はまさかと思った


「そなた名は?」

「シ静蘭と申します。」

「せい、らん…」

星宿は心の中で静蘭という名前を何度も何度も反芻した

「星宿様…?」

なんとなく顔色が悪い星宿に秀華は大丈夫ですか?と声をかけるが反応が無い

「あ、あの…」

静蘭は困ったような表情を浮かべていた

「静蘭、私は星宿様をお部屋にお連れしますので秀麗は頼みました。星宿様?大丈夫ですか?」

秀華は星宿の手をとると、ゆっくりと歩き始めた





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