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渡されたカギにため息を吐いて、肩を竦める。
「二人に聞いて、ダブルがいいって答えたら、部屋変えてよね。」
「わかったわ。」
信用ならない返事を聞いて、私は部屋に向かった。
ああいう返事って、大概副音声入ってるよね
さっきのジルの場合、確実に。
(まあ、聞かないけれど、)わかったわ、だろうな。
だって、恋愛させようとしてるジルだよ?
そこに、レオンが現れたら、そりゃぁ、どうにかしてくっつけようとするでしょ。
まあ、そんなことはどうでもいい。
「レオン、どうしたの?」
「いや…なんでもない。」
絶対なんでもなくない。
思いっきり目逸らされてるし、そのうえ、挙動不審なんですけど。
どうしたの?って聞かれるような行動してるんだから、自覚しなさい。
なんて、思いながらも、さっさと部屋に向かう。
とりあえず、休みたい。
「どこか行きたいならカギ持ってっていいよ。私部屋にいるから。」
ほい、と開けた鍵を投渡す。
驚いたように受け取ったレオンに苦笑しながら、部屋に入った。
扉を閉めようとすれば、慌てたように彼が入ってくる。
「ん?食事とか、いいの?」
「ヒサメは?」
「私はいいや、そんな気分になれなくて。」
苦笑して、部屋を見回す。
…日本のホテルに泊まりたい。
なぁんて、わがままですよね、ええ、大丈夫です、まだランクがいいところのようなので。
「出たければ、好きに外出していいから。」
そう笑って、埃っぽいのをどうにかしようとシャワー室に入る。
シャワーから出て、また同じ服、と思いながら服を着た瞬間だった。
体中が熱くなり、血を吐く。
慌ててそれを洗い流して、移動後すぐにベッドに倒れ込んだ。