旦那 | ナノ



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「絶対贔屓してるよね、氷雨ちゃん。」
「だって、一番ゲーム付き合ってくれるし、一番ゲーム上手いんだもん。」
「ちぇー、前は釣りも一緒に行ってくれてたのにー。」

最近全然行ってくれないよねー、と不満そうに此方を見やる彰くん。
思わず、首を傾げる。
私別に釣り嫌いじゃないし、むしろ、見てるのとか楽しいと思うし。
考えながら、笑って告げる。

「釣りなら誘ってくれれば行くけど?」
「マジ?」
「うん。」

不機嫌そうな彰くんの誤解を訂正すれば、その途端に嬉しそうになる顔。
思わず苦笑しながら、ニコニコと笑っている彰くんにいい加減着替えておいでよ、と声をかける。
今気がついた、というように驚いた顔をしてから、着替えて来るね、と更衣室に入った。
はいはい、と手を振って久しぶりに見る越野君に声をかける。

「越野君も久しぶりだね。」
「そうだな…アイツが家上げてくれなくなったから。」
「何それ、じゃぁ、普通に家おいでよ、勉強見てあげるし。」
「マジで?それはありがたい!」

高校生には学業と言う戦いが存在している。
私は、よくわからない母親からの記憶力によって、成績はいい。
自慢だが、これでも私は元々理解力がある方なのだ。
ただ、やる気にムラがありすぎて、後ついでに勉強が嫌いだっただけで。
勉強は嫌いだけど、学ぶことは好きだよ…なんてそんなことはいい。
実は越野君、ばっちり理系脳で文系教科が散々だったりする。
正反対なのが、彰くんで、がっつりした文系で、理系が酷い。
私の苦手は英語だ、どうしても長文を見るとやる気が失せる…いや、成績はいいよ。
いいんだけどさ、ほら、刷り込みっていうの?
昔のイヤーな記憶が…って程いやな記憶もない、な…。
うん、別にそこまでトラウマもないや。
高校の英語とか、後からやるとアレ、こんな簡単なのなんで分かんなかったの自分ってなったし。
って、そんな話もどうでもいいんだよね。
越野君の声で現実に引き戻される。

「日本史教えてくれ…!」
「切羽詰まってるなら、彰くんに聞いた方が…。」

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