旦那 | ナノ



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驚いて聞けば、こくりと頷くその姿。
思わずぽかんとするものの、べつにいいよ、と目を細める。
が、後ろから不満そうな視線が突き刺さった。
はぁ、とため息を吐きながら振り返る。
口がへの字になっているその様子に笑った。
ツンツン頭を撫でて、振り返り、富中エースを見上げる。

「今日は彰くんとやって疲れてるから、今度湘北にお邪魔するね?」

こくり、頷いたのを確認して、ノリさんを見れば、呆れたように頷くのが見えた。
それに笑顔で返して、ふと、今週のスケジュールを思い浮かべる。
いつが暇だっけなぁ…?

「んー…時間が作れそうなのは、水曜日かな?いい?」

聞けば、こくり、と頷いてくれる。
可愛らしいな…!
背伸びして、その頭を撫でてみた。

「?!」
「あ、ごめん、やっぱ嫌だった?」
「…別に。」

むしろ撫でやすいように、と頭を下げてくれた彼の髪は汗で濡れていたけど、さらさらだった。
限りない程にさらさらだった。
首を傾げて、笑う。

「試合お疲れさま、次はもっと彰くんをぼこぼこにしてね。」
「ちょ、氷雨ちゃん!?」

後ろから声なんて聞こえない。
素直にコクリ頷いてくれた彼に、うん、と笑って撫でていた手を下ろす。
一度伸びをして、あ、と洋平くんの方を見た。

「新作、やる?」
「マジ?」
「マジ、大マジ、今のところ、今回のやつも面白そうだよ。」
「行きます。」
「よっし、じゃぁ、後で電話するねー。」

わーい、といいながら手を振ってみれば、嬉しそうに笑って手を振り返してくれる。
うん、いい子。
あ、ちなみに、彼と彰くんと宗くんは既に顔見知りだったりする。
何故なら我が家に立ち入ることが多いから…変な接点作ってるよね、やっぱり。
いや、でも仕方ないことで…そもそも、宗くんと彰くんが一緒に寝る仲(卑猥な意味ではない)になってるんだもんね。
適する言葉、“今更”。
…ですよねー。

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