旦那 | ナノ



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「やった!俺の勝ち!」
「マジか…いや、いつも4:1で負けるけどさ…今回は勝てそうだったのに。」
「今回は危なかったけど…、氷雨ちゃん、」
「はいはい、お願いごとは何ですか。」

にっこり嬉しそうに笑う彰くんにため息を吐きながら目を向ける。
ぎゅう、と抱きついてくるデカい図体に眉をしかめた。

「暑い!ただでさえさっき走ってたから暑いってのに。」
「えー、いいじゃん、氷雨ちゃんと俺の仲でしょ?」
「お隣さんで、ご飯作ってバスケする仲だよね、抱きつく必要はないよね。」

あっさり言い切るが、離れる気配はない。
ため息を吐きつつ、陵南ベンチにある自分の飲み物とタオルを取りに向かう。
自分のタオルを取り出して、もう一枚、彰くんのタオルを渡した。
が、受け取る気配はない。
んーとか、いいながら擦り寄ってくる。
だから、暑いって言ってるんだけどねぇ…、聞く気がないのかコイツ。

「氷雨ー!流川が聞きたいことがあるって、」
「んー?流川…?ああ、富中エース!なぁに?」

彩子の声に返事をして、ずるずると彰くんを引きずりながら、湘北ベンチへ向かう。
いや、一応歩いてはくれるんだけど、重いんだよね、ある程度。
私のが普通に身長小さいから、抱きつこうとすると寄りかかる体勢になるんだよ。
もしくは、持ち上げられるかどっちか。

「…四中のセンター?」
「え、ああ、元ね。覚えてるの?」

聞けばこくりと頷く。
彰くんは故意的に無視されているようだ。
うむ、大型動物って感じがするよね、かわいい。
とりあえず、一旦富中エースにちょっとごめんね?と首を傾げて、首をひねって彰くんを見る。

「ほら、退いて、いい加減真面目に暑い。」
「えー…。」
「何、願い事はくっついてることなの?」

だったらホントにくっついてるだけだから、と続けてれば、すぐ離れた。
現金な奴…と思いながらも、ほっとして目の前の大型動物に向き直る。
くっつかれていた所為で余計汗ばんだ肌をタオルで拭きながら、首を傾げた。

「どうしたの?」
「…俺も、1on1したい、ッス。」
「え?私と?」

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