旦那 | ナノ



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にっこり笑えば、そうか、と頭をもう一度撫でてくれるノリさん。
ニコニコしていると、隣から木暮さんの不安そうな声が聞こえる。
きょとん、と振り返れば、困ったように眉を下げていた。

「氷雨ちゃん、彼氏はいいの?」
「…言い難いですけど、私、今までも彼氏いたことないですよ?」
「え、でも、」
「アレは物好きです。他にもいますけど、彼氏じゃないです。」

何処か納得できていない表情の木暮さんに苦笑する。
ふと、木暮さんにベンチの後ろから声がかかった。
聞き覚えのある声に思わず笑顔になって手を振る。

「洋平くん、こんにちは。」
「どうも、氷雨さん。」

にっこり笑い合えば、叫び声が響き渡る。
彩子と晴子ちゃん達と、それから桜木くんと、一番は彼の隣にいる男の子たち。
洋平くんはにっと歯を見せて笑いながら、木暮さんに告げた。

「氷雨さんは彼氏いねーっすよ。立候補者はいっぱいいますけど、ね?」
「そんなことは…、」
「ないって言えます?同時期に3人でしょ?」
「…いえません、すいません。私ごときが何故好かれるのかもわかりません。」

はぁ、とため息を吐こうとした瞬間、後ろから抱きつかれる。
力加減をしつつも逃げられない力。
はぁ、とため息を吐いて、周りが驚いていることからも、慣れた感触からも一人しか導き出せない。

「何、彰くん。」
「彼氏ってどういうこと?」
「宗くんが勝手に言ったんでしょ?学校でもセット扱いされるし。」
「何それ…ズルい、俺にもご褒美頂戴。」
「…可笑しいよね?私別に宗くんにご褒美としてセット扱い許可した訳じゃないんだけど?」
「それでもズルい、俺だって氷雨ちゃんと一緒にいたい。」

はぁ、とため息を吐く。
ちら、と湘北メンバーを見れば…うん、衝撃を受けたんだろうね。
何か時間が止まったような顔してる。
ちょっと、凄い顔すぎて直視できない。
目を逸らすように下を向いていると、彰くんが動く。
ふと首の後ろに唇が触れた。

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