旦那 | ナノ



067
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試合が終わった…!
やっと、あの地獄のような時間から解放される!
なんて思っていたのは甘かったですね、すいません。

「氷雨ー!!」

突然叫ばれるが、聞き覚えのある声ににっこり、笑いながら振り返る。
両手を広げて、彼女を受け止めた。
とはいっても、身長・体格的に受け止めるとは言えないのだけれど。

「彩子、久しぶりだね。」
「アンタなんで連絡しないの?!今日会えるってわかってたなら、色々準備したのに!」
「ごめんごめん、一昨日までアメリカいてさ、許してよ。」
「む…わかった。」

彩子がぎゅう、と一度私を締め付けて、咽せそうになったのを耐えつつ、頭を撫でる。
嬉しそうに目を細める彩子に笑い返して、ふと、他からやってくる視線を辿った。
まず、彰くん、それからノリさん・木暮さん、晴子ちゃん、洋平くん、富中エース。
あ、どうやら、陵南の一年生からもがっつり見られているようだ。
満足したのか、私から離れる彩子に、一緒にお茶行こう、と約束を取り付けて、ベンチの後ろを見る。

「晴子ちゃん、ひさしぶり。」
「ふ、わぁ、氷雨先輩!!お久しぶりです!お元気でしたか?!!」
「うん、元気だよ。晴子ちゃんも元気そうだねぇ。」

そう笑いかければ、彼女は、はぃいいぃっと叫ぶように返事をして、ふらりと傾いた。
その反応に焦るが、近くにいたお友達が咄嗟に支えてくれたので、怪我はなさそうだ。
ほ、と一息ついて、そのお友達二人にも笑いかける。

「藤井ちゃん、だよね?久しぶり、もう一人の子も、晴子ちゃん支えてくれてありがとう。」

藤井ちゃんからは吃驚した反応。
もう一人の子からは戸惑いつつも、小さく頭を下げる反応が返ってきた。
そのまま視線をずらして、ノリさんを見る。
ん?と気がついたようにこちらを見る様子に疲れてるからダメかなぁ?と伺うように確認。
ポンポン、と頭を撫でられて、まぁいいか、と今回は諦める。

「お久しぶりです、ノリさん!」

一瞬ザワっとしたのは気のせいではないと思う。
ノリさんはフッと口角をあげて笑い、それから、何で此処にいるんだ?と首を傾げた。

「今日は彰くんに頼まれたのと、キャプテンに湘北と陵南を見て来いって言われたんです。」

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