旦那 | ナノ



061
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告白を受けることも断ることも出来ない、です。
言い切って、ちら、と上目で彼らを確認する。
その表情は先ほどと一転して、ぱちぱちと瞬いている宗くんに、にっこり笑う彰くんだ。

「好きって、恋愛感情で?」
「よく、わかんない。」

静かに首を左右に振る。
それから、眉を寄せて、紳先輩に言ったことを告げようかと思ったが、言われたことを思い出してやめた。
数回瞬いて、その、と口を開く。

「自分のこと優先して、ね?こんな曖昧な私だから、嫌気がさすと思うの、」
「そんなことないと思うけどなぁ…」
「だって、真摯に気持ちに答えられてないんだよ?自分が想えば、その反応が欲しいと思うのが人間だもん。」

だから、他に気になる人が出来たら、その子のこと優先して。
首を傾げて、ね?と言えば、二人は眉を寄せて、頷きもしないし、首を振ることもない。
微動だにしない様子に不安になる。
ん、と思わず声が漏れた。
ふと、宗くんが立ち上がり、私の真横に立つ。
ぐい、と腕を引き上げられて、反対の手で顎を掴まれる。
怖い程に真っ直ぐな瞳に涙腺が緩んだ。
掴まれていない方の手を宗くんの肩辺りに置く。

「そ、くん?」
「でも、氷雨はさ、こうされても厭がらないよね?」

額、こめかみ、鼻先、唇の順に口付けられた。
ぴく、と肩が撥ねる。
気がつくと、後ろに彰くんが立っていて、二人に挟まれる形になっていた。
彰くんが耳に歯を立てて、その後を舌で舐め上げる。
ぞくぞくと背筋が伸びた。

「っは、ぁ」
「ちょ、エロ、」

彰くんの声が聞こえると同時に、宗くんの舌が口内に入ってくる。
ぎゅう、と抱きしめてくる彰くんの手が服の中に侵入、胸元にまで上がってきた。
それに驚いて、目を見開く、宗くんの色っぽい目と視線が絡まって、楽しそうに細められる。
それに気を取られていれば、彰くんに揉み上げられるように胸を触られた。
自由に動く方の手で服の中に居る手を抑える。
私の手の動きに気がついたのか、宗くんが離れて、彰くんを止める。

「何処までする気なの?」
「何処までならいいと思う?」
「えー、選んでもらったら初めてを貰う約束だし、その前じゃない?」

気の抜けるやり取りに一度息を吐いた。
きっと、明日から私が一週間いないのも原因の1つなんだろう、多分。
二人を押して、間を抜けてから、二人を見つめて首を傾げた。

「二人が決めた基準は私の特別の全員に適応される訳だから、よく考えた方がいいと思うよ。」

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