旦那 | ナノ



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出発前夜

お風呂に入った後、いつも通りにやって来た二人にため息を吐く。
自分の部屋のごとくナチュラルに寛ぐ姿に、全く…と呟けば、二人は少し嬉しそうに私を見つめた。

「私、今日やることあるから構ってられないよ?」
「えー…俺といちゃいちゃしようよー、氷雨ちゃん。」

彰くんが不満そうに後ろから抱きしめてくる。
はいはい、と流して、そのまま移動し、イスを引いた。
が、彰くんは退いてくれない。

「座れないんだけど。」
「えー、いいじゃん、俺の膝の上に座れば。」
「宗くんと同じこと言ってんじゃん、」
「え?俺の時は氷雨ちゃんが悪いでしょ?」

…え?と宗くんを見れば、にっこりと、いい笑顔を浮かべていた。
たた、と近づいて来た宗くんは私の目の前で膝をついて、見上げてくる。
そのまま笑顔で、首を傾げた。

「じゃぁ、お昼休みのとき、牧さんと何してたのか教えてくれる?」
「…それは、その、」
「当ててあげようか…告白されたでしょ?」

ぎゅ、と、後ろからの力が強くなった。
斜め下の宗くんはにこにこと言い逃れは許さないというように綺麗に笑っていて。
これ、完全にバレてる、と気がつくには十分だった。
嫌な汗が背中を伝うが、それに気がつかない振りをして、私は一言だけ呟いた。

「えーっと、とりあえず、プリント作らないと。」
「「氷雨ちゃん?」」
「…はい、」

正面に並んで二人座った彰くんと宗くん。
目はかなり鋭い。

「それで?」
「告白されました。」
「あの牧さんがねぇ…返事はどうしたの?」
「………えっと、保留状態と言いますか、はい。」

にっこりと宗くんが笑う。
正反対なのは、彰くんで、むっすーと不機嫌そうにしている。
うはぁ…これはヤバい、かなり不機嫌な気がするんだが。
冷や汗が背中を伝う。

「その、言い訳は聞いてもらえますか。」

二人は静かに私を見る。
とりあえず、目を逸らしながら、あのぉ…と口を開いた。

「私の中で、宗くんと彰くんと紳先輩…たちはその、別格の…えと、好きだから、」

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