旦那 | ナノ



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「「…え?」」

二人が驚いたようにこちらを見る。
その視線に、当たり前です、と眉を寄せて告げた。

「二人も好きだけど、他の皆も好きなの。逆に言えば、突出した人はいないの。」
「だから、差をつける訳にはいかないってこと?」

彰くんの言葉に笑いながら頷く。
む、と眉を寄せた二人に苦笑しそうな表情を抑えて、私は明日のプリントを作る準備を始めた。
二人が、近づいて私の正面に先ほどと同じように座る。
その手には、紙とペンが握られており、真剣に向き合う。
マジかよ、と思いながら、自分がするべきことを始める。
まず、明日からのマネージャーの仕事について。
とりあえず、マネ希望の子たちに任せられる仕事もピックアップしとかないと。
その流れで仕事についても書いておこう。
あと、先輩の名前と一年生の名前表も作らないとかな。
それからー…ああ、試合云々についてだ。

「あ、」
「どうしたの氷雨ちゃん?」
「ちょっと待ってねー…と、あったあった、はい、彰くん。」
「え?何これ?」
「賭け試合の条件、学校で決まったから皆それ適用だよ。」
「えー、俺学校違うのにー。」

不満そうに眉を寄せ、唇を尖らせる彼に肩をすくめる。
宗くんがむ、と眉を寄せて、彰くんを小突いた。

「平等だろ?」
「試合数的に平等じゃないじゃん。」
「活躍のしやすさは彰くんの方があると思うよ。」

ぼそ、と呟けば、え?と二人の視線が突き刺さる。
痛い。
いや、実際に痛い訳じゃないけど…ほら、視線が突き刺さるってやつ?
続きを促す二人に肩をすくめて答える。

「うちの学校の今の所の固定スタメンは紳先輩と高砂さん、武藤さんに宗くん、入れ替わりに一人。」
「そうだね。」
「でも、練習試合とか試合回数多い時だと、准スタメンと中堅中心でしょう?」
「へー、そうなんだ?」
「それに対して、彰くんは練習試合に基本スタメン、普通の試合でもスタメン。」
「つまり、選手層の厚さでスタメンだと活躍の場が少ないってことか。」

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