旦那 | ナノ



020
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牧さんの言葉にはい、と答える。
ふと、撫でてくれていた手が離れて少し寂しく思ったが、牧さんの顔を見て笑う。

「改めまして、白雲氷雨です、よろしくお願いします。」
「牧紳一だ。よろしくな。」

に、と笑う彼の歯が輝かしいこと。
こくり、頷くと、隣に宗くんが来るのがわかった。
そちらに笑顔を見せて、宗くんもよろしくね、と笑う。

「一緒に頑張ろうね、宗くん!」
「氷雨ちゃんがいるなら、格好悪いところは見せられないね。」
「なら、3年間バスケ部だ。」

ふふ、と笑うと宗くんがどういうこと?と首を傾げる。

「だって、格好悪いって言ったら、途中で投げ出すことかなって思って。」
「…そっか、そうだね。」

優しく目を細めた彼に少し早まったかもしれないと思う。
こんなにイケメンがいっぱいいたら、流石にクラクラするよ?
仕事が忙しければ、部員を気にしなくていいかもしれないけど。
てかあれか、彼らが自覚してくれればいいんだよね。

「宗くん、宗くん、」
「何?」
「宗くんは自分の顔立ちが整っていることを自覚してる?」

脈絡で考えたら、多分、唐突な私の発言に、ん?と瞬きながら聞き返す宗くん。
それすら絵になるって、美形って怖いわぁ。

「あと、牧先輩もです。」
「俺か?」
「そうです、二人とも美形なんですから、私への対応は遠巻きな感じでお願いします。」

何だそれ、と言うような視線を二人…いや、先生も含めて3人から受ける。
自覚しろって話だよ。
なんで、疑問視されてんだって。

「女の人に睨まれるのは避けたいのと、私の心臓が持ちそうにないからです。」

死活問題ですからね、と続けたところで、集合!と声がかかる。
どうやら練習が再開されるようだ。
可愛い子、綺麗な子が彼らの近くにいるのならまあ許されるだろう。
だが、私だ。
まあ、近くにいるだけなら許されるだろうし、相手にされてなくて可哀想に、で終わらせてくれる。
しかし、(私が)頭撫でられたり、(私が)ほっぺを染めてたりしたら、そりゃ、危ないでしょ。
何あの女調子乗ってんの?パターンでしょ。
流石に怖い。
そもそも私メンタル強くないし。
なんて考えながら、練習を見る。
そっか、マネージャーになったら、こんなにゆっくり練習見てらんないのか。
と思いついて、それはそれで切ないなーと眉が下がる。

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