旦那 | ナノ



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デートとかする時間があったらゲーム進めたいです。
と、小さく零せば驚いたような視線を向けられた。
その視線を真っ正面から受けて、私も驚く。

「ゲームって、テレビゲームか?」
「え、はい…あれ?知らないんでしたっけ?」

私ゲームが趣味なんですよ、と言葉を続ける。
それから、ジャージのポケットに入っているメガネを取り出してかけた。

「これも、その所為ですよ。スコアとか観戦中はつけてるでしょう?」

何度か瞬いた紳先輩は、吹き出して、私の頭を撫でた。
そうか、とだけ笑った彼は、だが、ゲームなんてする時間あるのか?と首を傾げる。
その言葉に思わず眉を寄せて、変な顔をしてしまう。
もう一度吹き出すように笑った紳先輩は、ないんだな、と笑いを堪えながら言葉にする。

「だから、休みの日は…家に籠っていたんですけどね。」

っていうかご飯作るより、ゲームしてたいですし、勉強は嫌いですし。
関係ないことも伝えながら、笑う。
そうなのか、と何とも微妙な表情を向けられて苦笑を浮かべた。

「まあ、時々洋平くんっていう年下の少年が作ってくれるので、ありがたいんですけどね。」
「…まだいるのか。」

まだいるのか、ってどういうことだ?と思わず首を傾げる。
が、紳先輩は何でもない、と首を左右に振った。
そうですか、と返して、500本シュートをしている宗くんを確認。
紳先輩から離れて、部室に一度戻る。
それから、帰れる準備を終えてから、宗くんに近づいた。

「宗くん、後何本?」
「ラスト、だよっ」

宗くんはそういいながら、一本シュートを決める。
ふぅ、と息を吐いて、軽く笑っている。
元気だなぁ、とその様子を横目で見ながら、辺りに散らばっているボールを回収する。

「ほら、着替えてきなよ。」
「ん、ありがとう。」

こくり、頷いて部室に戻ってもらいながら、黙々とボールを拾う。
モップ掛けをしながら、やっぱりスケジュール帳買おうかな、と考えた。
去年はカレンダーに試合の予定を書いておけば良かったけど、今回からはそうはいかないだろう。
バスケ中心の生活であるとは言え、本分は学生で。
さくちゃんやあかりちゃんとも遊びたい。
一緒に勉強会とかやるためには、スケジュール帳があった方が便利だと思う。
よし、と決めて顔を上げると、目の前には紳先輩と宗くんが立っていた。
ぱちり、と瞬いて、じっと顔を見る。

「よし、帰るか。」
「あ、待っててくれたんですか!すみません、ありがとうございます。」

紳先輩の言葉に返して、一度体育館を見回した。
ほら、行っちゃうよ?と悪戯っぽく笑う宗くんに肩をすくめながら、靴を履き替える。
すっかり暗くなった学校を3人で後にした。

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