旦那 | ナノ



087
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5月19日


部活は毎日、ただし、相沢さんと高頭先生の指示の下に調整しながら行われている。
私が行った次の日だか、二日後だったか、湘北で暴力事件があったらしい。
某3Pの人の騒動じゃないかと、個人的に思っているのだが…まあ、そろそろ時期だし。
なんて思っていると、橘くんから声がかけられる。

「白雲ー、お前確か19日見に行くんだよな?」
「え、うん、行くけど、なんで?」
「ビデオ頼んでもいいか?」
「じゃぁ、ノート頼んでもいい?」

疑問系ばかりの会話だが、最後に二人で頷き合って、交渉が成立した。
とはいえ、ノートくらいなら、さくちゃんやあかりちゃんにお願いすることもできるのだが。
それにしても、ビデオか…。

「三脚って何処にあるの?」
「あー…多分、男子更衣室、後で出しとく」
「おー、ありがとう」

三脚無いとぶれるし、手がヤバくなるし、気を抜くと撮ってる場所ズレるし、でいいことが無い。
運動会の記念とかなら味が出ていいんだろうけど…流石に、分析とかに使う訳だからね。
なんて思いながら一度大きく伸びをする。
さて、今日も一日頑張りましょうかね!


と、毎日が充実していると、日が過ぎるのは早いもので、5月19日がやってきた。
宗くんと清田くんは後から二人で来るらしいので、紳先輩と二人で向かう。
カメラはそれ程でもないけど、三脚が結構大きくて、肩に来る。
肩に食い込むそれを短期間に背負い直していれば、紳先輩が気になったのか、首を傾げた。

「どうした?」
「あ、いえ…ちょっとしっくりこなくて」

にこり、笑って返す。
此処で三脚が重くてなんて言ったら、遠回しに持ってくださいアピールにしかならないだろう。
一人でそう思っていると、眉を寄せた紳先輩が、気がつかなくて悪かった、と三脚を軽々と担いだ。
私のごまかしは意味が無かったのか…。
思わず不満そうな顔をしていたのだろう、ぽんぽん、と頭を撫でられる。

「気にするな」
「う…ありがとう、ございます」

正直持ってもらって、かなり有難い。
ので、素直にお礼を言うことにした。
本当は私が持つべきなんだろうけど、明らかに長距離、もしくは長時間担いでいるのは難しそうなんだよね。

「でも、平気ですか?」
「ああ、これでも海南バスケ部のキャプテンだからな」

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