旦那 | ナノ



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スケジュール

さて、翌日、部活に顔を出せば、色々と責められた。
ある程度やってから行ったんだから許してくれよ、なんて思う。
が、慣れない彼らにアレだけの仕事は大変だったんだろう。
私だって大変なんだから。

「ごめんって、お詫びにクッキー作ってきたから許してよ。」

笑いながら一人分の袋を見せれば、一瞬にして目の色が変わった。
仕方ないなぁ、と笑顔を浮かべる彼らは、色々な意味で安すぎる。
何クッキーで許されるとか、まじちょろいんですけど。
なんて思いながら、素直にありがとう、と笑って、クッキーを配ってから女子更衣室に向かう。
さっさと着替えて準備を始めれば、部員の皆さんからも挨拶される。

「氷雨、」
「はい?何でしょう?」

後ろからの紳先輩の声に振り返った。
いつものような声だったので油断していたが、表情が違和感を訴える。
何ともいえない表情だが、これは突っ込んじゃいけないパターンだ。
無言で次の言葉を待つ。

「…5月19日、試合見に行くぞ。」
「はい、わかりました。」

笑顔で頷いて、顔を上げると紳先輩の後ろの男マネに手招きされている。
紳先輩に小さく頭を下げて、横をすり抜けようとした。
が、何故か腕を掴まれ、転びそうになる。

「紳先輩?」
「…あとで、時間あるか?」
「部活終わりでよければ。」

こくり、頷けば、何ともいえない表情での微笑みが目に入った。
思わず足を止めて、後ろから声をかける。

「紳先輩、無理は厳禁ですよ?」

では!とそのまま走り始めた。
男マネのところに行くと、相沢さんと橘くんも居る。
今日のメニューについての打ち合わせのようだ。
気温によっては休憩時間とか、変更しないといけないらしい。
あとは、試合に向けて調整もし始めるんだとか。
正直、そっちの方はまるで分からないので、去年のデータと比較したり、疑問をぶつける程度しかできない。
…が、来年、相沢さんがいなくなったら、どうしよう…橘くんが頑張ってくれるかな?
そう思いながらちらりと橘くんを見る。
と、真剣に聞いていた彼が不思議そうに首を傾げた。
なんでもないと首を振って、話に集中する。

それからいつも通りの練習があって、宗くんが500本シュートを始めた。
紳先輩に呼ばれてたな、と辺りを見回す。
上のギャラリー部分から顔が覗いており、そちらに向かう。

「どうかしたんですか?」

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