旦那 | ナノ



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そう言えば、眉を寄せたリョーちゃん。
首を傾げると、はあ、と露骨なため息を吐かれた。
そして、彼は言う。

「その、宗くんと彰くんって、何処の誰か聞いてもいいか?」
「ん、海南の神宗一郎と陵南の仙道彰、お向かいさんにお隣さんだよ。」

あ、リョーちゃんが頭押さえた。
別に、そんなに頭痛くなることじゃないでしょうに。
なんて思いながらも、リョーちゃんが今日いるんだから、今日でいいだろ、と告げる。

「んー…わかった。多分大丈夫、部活終わったらやろう。」
「それまでどうしてんの?」
「外走ってる。」

練習見られたくないでしょ?とだけ告げて、運動靴を取りに部室に入らせてもらう。
自分の鞄からスニーカーを取り出して、声をかけてから外に向かった。
軽く準備運動をもう一回して、走り始める。
迷子にならない程度に、学校周辺を一周してみた。

何週かしていると、彩子が立っていて、入って?と言われる。
こくり、頷いて、息を整えながら、体育館に入った。
タオルで汗を拭きながら、顔を上げれば、リョーちゃんと富中エースが1on1をやっている。
にこり、笑い、声をかけた。

「私、帰ってもいい?」
「待て待て、悪かったから、」

慌てたように私に答えたリョーちゃんはその隙をつかれてゴールを決められる。
あー!と叫ぶ彼に、鼻で笑った富中エース。
何か良くわからない、と辺りを見れば、驚いたような顔をした洋平くんと目が合った。
手を振りながら近づいて、何がどういうことなのか聞く。

「どっちが先に氷雨さんとやるか、らしいです。」
「…え、私そんなにやるの?夕飯作る時間が無くなっちゃうんだけど。」
「あの二人に任せておけばいいんじゃ?」
「あの二人が作るとどれだけの時間がかかるか知ってる?洋平くんとは違うんだよ。」

肩をすくめて告げれば、彼はふいと目を逸らした。
そうだよね、あの二人より、料理習い始めたの遅いのに、あの二人より上手いもんね。

「あ…洋平くん、今日暇?」
「…わかりました、手伝いますよ。」

私の質問に苦笑して、そう言ってくれた彼に、ありがとー、と笑ってから、どう見ても待ち構えている二人を見る。
はぁ、とため息を吐いてから、そちらに向かう。
面倒だけど、頑張りますか…っていうか、今日の夕飯何にしようかな。
なんて、考えながら、1on1は終わった。
え?結果?ジャンプなしは流石にキツかったらしいね!と練習後だったし、仕方ないんじゃないかな?
の二つを言えばわかってもらえると思う。

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