胸うさ | ナノ



2
しおりを挟む


女性から、すごい目で見られながら、聞かれた。
注目が集まる。
びっくりして、近くに居た小松さんの後ろにしゃがみ込んだ。

「ええ、ちょ、氷雨さん?何で僕の後ろに隠れるんですか!?」
「だって、その、私、人見知りだし。今日さういないし。」

声が震える。
特にあの禿げてる人が怖い。
何あのマッチョ、頭にねじとか刺さってるし、意味わかんない。
リアルフランケンシュタインの怪物なの?
でも酔っぱらいっぽいよ、なにそれ、もっと意味わかんない。

「氷雨さん、大丈夫ですよ。頼りにならないかもしれないですけど、僕が居ます。」

そんなこと考えていれば、にこり、振り返った小松さんが微笑んだ。
何となく、癒されて、こくり、頷いた。
とりあえず、小松さんの影から出て、順に顔を見る。

「…私、氷雨です。アイスヘルに行ったときに、小松さんとトリコさんにお会いしました。」

お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?と首を傾げれば、女の子が笑う。

「ウチ、リンだしー!お兄ちゃんから氷雨のこと聞いてるし!!」
「…お兄様、ですか?」
「サニーだ。」

隣からのトリコさんの声に、ああ、と頷いた。
確かに、目許とかサニーさんに似てるかも、と考えていれば、他の人たちも話し始めてくれる。

「ボクはココ、よろしくね。」
「十夢だ、卸売業をしてる。」
「わしはマンサム、IGOのビオトープの所長をしている。」
「こっ、この家を設計した、スマイルです。」

いきなり言われたことに驚きながらも、ぱちぱちと瞬いて、一人一人の顔を見る。
黒タイツの方がココさん、色黒のイケメンさんが十夢さん、リアルフランケンシュタイン(怪物)がマンサムさん。
最後に、どこか挙動不審な人がスマイルさん。
ふむ、と頷いて、顔と名前を一致させる。
それからにこりと笑って、よろしくお願い致しますね、と声をかけた。

「あと、これ、あまり作ってこられなかったんですけど。」

肉じゃが的なものと、簡単に食べられるように主食クレープ的なものをもってきた。
よくネルグで作り、子供たちやマッチさんたちにも人気なそれだ。
ギリギリ人数分あるかな、と言ったところで。

「…あの、やはり、他のものの方がいいでしょうか?」

取り出して蓋を開けた瞬間に無言になった人たちに、思わず眉を下げる。
…お金ないから、作ったけど、やっぱりマッチさんに言われた通り何か買ってくる方が良かったか。
ライフではトリコさんに喜んでもらえたから、いいかな、って思ったんだけど。
[前へ]/[次へ]

[ back to menu ][ back to main ]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -