胸うさ | ナノ



新築祝いの出会い

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「えっと、此処…かなぁ?」

大きな、お菓子のお城があるから、間違いない、よね?
首を傾げながらも、そのまま、扉をノックする。

「すみません、」

中で騒いでいる声が聞こえて、入るのは辞めた方がいいかなぁ、と不安になる。
今回は、ネルグでの用事にさうが必要だということで、一人なのだ。
という訳で、不安感もいつもより高い。
眉を下げて、困った、と思っていれば、がちゃ、と扉を開けてくれた1人の大きな人。
甘い香りが、広がる。
そして、目の前が、黒い…え、全身タイツ?
数回瞬いて、無言になったが、このままではいけないと、笑顔を浮かべた。

「こんにちは、」
「あ!氷雨さん!!!」

黒タイツさんの後ろから、小松さんが現れる。
今日はどうしたんですか?と聞かれて、手にもっていたそれを取り出した。

「トリコさんに誘われて…これ、お土産なんですけど…。」
「氷雨!!来たのか!」

小松さんと黒タイツさんを押しのけて、トリコさんが目の前にくる。
スンスン、と鼻を働かせながらも、よだれを垂らし始めていて、思わず、数歩下がった。
とりあえず、お祝いとしてもってきていた、料理を差し出した。

「お口に合うか、わかりませんが…お祝いに。」
「入れよ、今、ちょうど飯を食い始めたところだ。」

ニコニコ笑うトリコさんに促されて、お菓子のお城に足を踏み入れる。
…床までお菓子、靴脱いだ方がいいのかな?
と、足を止める。

「どうかしたの?」
「…お菓子、なので、靴を脱いだ方がいいのか、と思いまして。」

すぐ近くに立った黒タイツの方に聞けば、気にしなくて大丈夫だよ、と笑われる。
そうですか、と一度頷いて、覚悟を決めて、彼に並ぶように足を踏み出した。
速攻、外に出て、深呼吸。
…何此処、甘ったる過ぎて死ねる。
私、どちらかと言えば甘党なはずなのに、可笑しい。
何であの人たちあんな平気な顔して歩き回ってるの?怖い。
今度は覚悟を決めて、足を踏み入れた。
…あれ?そこまででもない?
確かに、厳しいくらい甘ったるいけど、我慢できなくもない…。
最初は衝撃過ぎただけか。
自分の中で納得して、あまりに甘い匂いで驚いちゃいました、と笑って、集団に混ざる。

「誰だし?!」

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