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流石に完全に抱きとめることはできず、尻餅をつく形になったが、シンに新たな怪我はないようだ。
突然のことに目を白黒させているシンに、安心して、ぎゅうと抱きつく。
「?!なんだよ、氷雨。」
「馬鹿じゃないの、心配したんだからね!」
さうが、のしのしと担いだ二人を私の横に置いた。
シンから離れて、二人を見つめる。
「氷雨、ありがとう。」
ラムは、いつものように笑った。
心配してくれるなんて優しいな、とどこかズレたことを言いながら、私の頭を撫でる。
こくり、一度頷いて、次にルイを見つめた。
「あー、まあ、…妹に心配かけんのは、よくない、よな。」
「…私を姉と認めるのなら、許す。」
視線を逸らしながら言うルイに、ジト目になりながら返す。
ルイが無言で、私を見つめてきた。
私も無言で見つめ返す。
「…いい加減にしろ、全く。」
呆れたような声で、マッチさんが私とルイの頭をポンポン、と撫でた。
そのまま手を掴まれて、簡単に引き上げられる。
自分の足で立ち上がって、手乗りサイズに戻ったさうを胸の間に入れた。
ちょこん、と居るその姿に顎の下辺りを撫でる。
目を細めるさうにかわいいなぁ、と思考がズレた辺りであ、と気がついた。
「3人とも、いくら若くても、そのままだと風邪引くよ。」
私の言葉に数秒固まって、自分の姿を見る3人。
そして、暫く無言になったかと思えば、女の私よりも女らしい悲鳴を上げた。
なんだよ、きゃぁあああって。
私、うわあああっだったんだけど、なにその可愛い悲鳴。
ていうか、シンの落ち込みが半端ないんだけど。
すごい責められるような視線で見られているんだけど、私の所為ですか。
確認するようにマッチさんの方を向けば、鉄平さんから洋服を借りていた。
「嬢ちゃん、氷雨っていったか?」
「はい?」
与作さんから話しかけられた。
なんでしょう?と首をそちらに向ければ、悩んだような表情をして、私を見る。
「此処に、来る気はないか。」