胸うさ | ナノ



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曰く、私の力は異常であり、狙う人間が出てくるだろう。
曰く、ヤクザに居るよりも、その力を役立てることができる。
曰く、私の種族がわかるかもしれない。
なんて、言葉を使っていたが、ただ単に、危険分子を放置しておきたくないだけだろう。
多分彼らのことだ、美食會にいる、私と同じ能力を持つ子、晴ちゃんの存在は知っているのだろう。
だからこそ、彼女に対抗する存在として、私自身はIGOに引き入れたいと。
というよりも、監視下に入れておきたいのか。
いつ、敵に回ってもいいように、どんな力なのか研究したいのだろう。
此処で、治療を手伝うのならば、力を使うことになるかもしれない。
そうすれば、中々簡単に研究は進む、手伝ってきてくれと、IGOに派遣されれば、私は断れなくなる。
そこまで考えて、笑った。
首を左右に振って、マッチさんたちを見つめる。

「私の帰る場所は、彼らの元しかあり得ませんから。」

笑って告げれば、そうか、と静かな声が返ってきた。
だが、此方としても、変ないちゃもんをつけられて、強制的に協力させられるのは避けたい。
と、なると、道は1つ。

「…予定さえあえば、お手伝いはさせていただきますよ。」

にこり、笑う。
目を見開いたその人は、一度不審そうな顔をしてから、に、と笑った。

「頼んだぞ。」

その反応に、数回瞬いてから、頷く。
まあ、いざとなれば、逃げればいい訳だし。
と、思いながら、マッチさんと服を着た3人と滝丸少年に名前を呼ばれる。

「氷雨、帰るぞ。」
「はい!」

何か言いたそうにしているサニーさんと鉄平さん、トリコさんはスルーの方向でいかせて頂きます。
マッチさんに近寄れば、優しく、目を細めて、手を伸ばしてくる。
なんだろう?とマッチさんを見つめていると、マッチさんは私の頭に手を置いた。
何往復かするその手に嬉しくなって、つり上がる頬を抑えきれずにいれば、マッチさんが一歩近づく。
それから、軽々と持ち上げられた。

「?!」
「眠れ。」

命令口調だが、優しい響きの声。
ぽんぽん、と背中を叩かれる。
…いや、なんて言うか、これ、子供扱いじゃね?
なんて、思うものの、大好きな香りに、安心できる人の腕の中なのだ。
うとうとと瞼が重くなってくる。

「まっちさん、」
「なんだ?」
「…なんでもない。」

(お別れすら言わせないって、おじさんどれだけ束縛してるの?)
(…副組長も、複雑なんだな。)
(……だろうな、シン、頑張れよ。)
(助けようとは思わねぇの?!オレのこと弟って可愛がってただろ!)
(俺たちには無理だ、せめて、いつの間にか逃げ出してきたコイツの面倒見ておけ)
(えええ、氷雨さんのさうじゃないですか、何で此処に。)

(だああああ!マッチの野郎見せつけやがってえええ!)
(荒れてるな、トリコ)
((…レ、全然話せなかったし、てか、目もあわせてもらえなかったし…))

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