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告げて、トリコさんと席を交換する。
びくびくとしながら、マッチさんの陰に隠れるように座った。
怖い、露出狂怖い。
とりあえず、怖かった。
本当に、泣くかと思った、貞操とかの恐怖じゃなくて、純粋に恐怖。
ホラー映画見て怖い、とかって感じの怖さです。
「マッチさん、飲み物欲しい、です。」
「珍しいな、ほら。」
手渡されたのは、お水で。
少しずつ飲んで、気持ちを落ち着かせる。
泣いたこともあって、若干水分が足りていなかったようにも思う。
ほ、とやっと一息つけた気がして、こてんとマッチさんに寄りかかった。
じわじわと伝わる体温に息を吐きだして、話し合いをしている彼らを見つめる。
どうやら、“アース”だとか、“与作”だとか、といった話をしているが、正直、興味がわかない。
「マッチさん、さうのところに居ます。」
「…大丈夫か?」
その問いにこくりと頷いて、席を立つ。
後ろから、ならばそのルール破ろうなんて聞こえたような気もしないでもない。
さうの許に行き、未だ包帯に巻かれている3人を見る。
心音が落ち着いているのに安心して、座っているさうに埋まるように座った。
「きゅー?」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ。」
「ぎゅあー。」
大きな手をぽんぽん、と頭に乗せて撫でてくれるさう。
ぎゅう、と反対の手を抱きしめた。
ぴく、と反応したさうが、私の出てきた方向を見つめている。
「もうみんな来るの?」
「ぎゅい。」
「そっか、ちっちゃくなる?」
言いながら立ち上がると、さうはその場で手乗りサイズに変わった。
はい、と手を差し出せば、其処にぴょこりと可愛らしく乗り込んだ。
顎の下を指で撫でるようにすると、きゅいきゅい、とよくわからない返事をくれる。
それはどっち、やめろってことなの?と指を止めると、じっと見上げてくるつぶらな瞳。
「氷雨、」
「?」
名前を呼ばれて振り向く。
そこにいたのは、トリコさんで、首を傾げたまま彼を見つめた。
「サニーが悪かったな。」