胸うさ | ナノ



再生屋へ

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眉を寄せたサニーさんが私の真横にいる。
正直、やめて欲しい。

「―るかったし、」
「……、いえ、気にしてないです。」

目を逸らしながら、首を振った。
周りの視線が突き刺さる。
…いや、確かに私の反応は気にしてない人の反応じゃないですけど。
元々、私、恋愛経験値が低いんですよ、しかもちょっと前の10年は人間にすらあってなかったし。
そりゃぁ、無理だと思いませんか、性別ってなんですかレベルだったんですよ。
なのに、あんなものを…!
なぁんて、精神的にやられてたからちょっと異常な程テンパってしまっただけで。
本来だったら、そんなに焦ることはないと思うんだけど。
多分、鼻で笑えたはずなんだよ、はっ、ちいs(ryって感じで。
いや、誰と比べてとかではなく…その、ごめんなさい。
なんか、一人で地味にダメージを負った、すいませんでした。
まだちょっとテンションが可笑しいようで、自分のペースが掴めない。

「―っても、目合わせてくんねーし。」
「すいません、それは純粋に人見知りの所為です。」

普通に話しているときとかは問題ないのだが、見ようと思って見るのは恥ずかしくて3秒すら見ていられない。
あと、気恥ずかしい空気を出してるマッチさんの目は見ちゃいけないものと考えている。
まあそんなことはおいといて、一度だけ深呼吸。
それから、小さく口角をつり上げて、サニーさんを見た。

「本当に、大丈夫です。」

気にしないで下さい、と続ける。
が、何か、嫌な予感がして、思わず手を払った。
驚いた顔をしたトリコさんとサニーさん。

「ー前、ーレの触覚わかんの?」
「…サニーさんの触覚でしたか、嫌な感じがしていたので振り払っていたんですが。」

野性で生き抜いたが故に、知らない気配には敏感になってるんだよね。
まあ、サニーさんなら平気…なんだろう、きっと。
振り払う手を抑えて、数回瞬く。
ぞくり、と嫌な感覚が右腕に触れた瞬間、サニーさんが目を見開き、私の手を掴んで来た。
びく、と肩を震わせて、体ごと引いて、怯えるようにその様子を見る。

「―ジ、―つくしい!」

叫んだ彼は、私の両手を片手で押さえ、反対の手で、頬に触れた。
ぐっと、近寄って来るその顔に、恐怖しか覚えない私は必死に目線だけで助けを求める。
が、運悪く、マッチさんはサニーさんの影で、滝丸少年は私の後ろだ。
ひぃ、と思いながら目が合ったのはトリコさんで、マッチさんと話しているようだったが、助けを求めた。
吃驚したような顔をした彼だったが、すぐにサニーさんを引きはがしてくれる。

「大丈夫か、氷雨?」
「は、はい…ありがとうございます、トリコさん。」

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