胸うさ | ナノ



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余談だが、私の好みはマッチさんとか、ゼブラとか、スタージュンとかである。
なんだろう、男臭いというか、ガタイがいいというかそんな人が特に好みだったりする。
あと、晴ちゃんの一押しはグリンパーチらしい。
うん、彼女のセンスは私には分からない。
なんて考えていると、上に大きな穴が空いた。
晴ちゃんと二人ではっとしたように下を覗き込む。
トミーロッドは倒れていて、グルメショーウィンドウはプロテクトツリーに絡めとられている。
ふと、見ればマッチさんが足を斬っていた。

「ちょ、マッチさん、何やってっ?!」
『氷雨さん?!』
『晴ちゃん、これ、私の連絡先、いつでも連絡頂戴!』

はい!といい返事をする彼女を置いて、私は急いで飛び降りた。
後ろから、彼女の叫び声に近い声が耳に入る。

『氷雨さん、もしかすると、     !』

慌てて飛び降りたからか、それとも、彼女の言葉が原因か。
バランスを崩して、ものすごい勢いでネギチャリの体勢になる。
ドゴン、と凄い音を立てた踵落しのせいで、二人の視線が集まった。
慌ててマッチさんに駆け寄る。

「私に言ってくれれば、溶かしたのに!」
「…そう、だったな。」
「三人も、大丈夫ですよ。」
「え?」
「君、わかるの?」

緑のリーゼントが話しかけて来た。
誰だコイツ…と思いながらも、こくり、頷く。
マッチさんが警戒していないので、私がどうこうする必要はなさそうだと判断。
…え?何で三人が大丈夫なのかわかったかって?
そりゃ、グルメ界で10年も過ごしてれば、死んだフリする猛獣とかにも出会いました。
あと、腐敗前の肉は貴重だったので、生きているか、死んでからどれくらいか、状態はどうかを本能的に…。
いやぁ、本当に辛かった…って、そんな話じゃない。
とにかく死んでないなら私の力で多分何とかなる。
緑のリーゼントさんが3人を手当てしてくれるのを見つめた。
ふと、マッチさんの足を覆っている氷に触れる。
某カロイドの有名曲で氷を溶かせるだろう曲を口にし始める。

「氷雨、」

声がかけられるが、返事はまだ出来ない。
マジで溶けるからね、マッチさんの足まで溶かさないように気をつけないと。
ちなみに、この歌の能力は歌詞に何となく関わっていれば、ほとんどのことが出来る。
流石に天候操ったり、人の気持ちを変えたりは出来ないけど。
自分の肉体を弄ったり、少しばかりの変化は起こせる。
歌の意図する歌詞や結末とは関係無しに。
っと、そんな話じゃないか。

氷を溶かしきって、緑のリーゼントに包帯を巻いてもらう。
ほ、と一息ついて、ラムとルイをさうに担いでもらって、私がシンを担いで下に降りる。
ちなみに、滝丸少年は緑のリーゼントが負ぶってくれた。
アイスヘルの地下?では、血を流した小松さんが泣いていた。
最後の一滴を搾り取った緑のリーゼントのおかげで、小松さんがそれを飲むことが出来たのだけれど。
そのときのトリコさんの顔は恐くて、ちょっと近寄れないと思いました。
あ、ちなみに私は最初っからいらないと告げてありました。
いや、だって、そんな栄養価高そうなもの飲んだら、多分、こっから先二週間は何も食えないと思う。
すぐ胃もたれするんだもん、こっちの食材。

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