胸うさ | ナノ



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さうの姿が変わり、某仮面(notタキシード)となる。
うん、この姿のときは人間の言葉が喋れるんだよ、ちゃんと。
ただ、自分の服装が…つらい。
何処からともなく音楽が聴こえる。

『う、嘘でしょ?!』

驚いている#晴ちゃんに反応する時間はない。
一番を歌い始める。
彼女も慌てたように虎たちを強化する歌を歌い始めた。

「イケメンビーム!」

私の声にあわせて、さうが仮面を外し、ビームを出す。
ちゃ、っと仮面を戻すその作業は慣れたものだ。
全身全霊で歌う。
途中で晴ちゃんが、嘘でしょ、なんで知っているの…と言っていたのが聴こえた。
つらい。
とりあえず、真剣に歌い、同じくらいのタイミングで曲が終わる。

やはり彼方は3匹居るからか、簡単には決着がつかない。
が、これでもオタクとしてかなりの黒歴史を持っている私だ。
続いて、同じキャラの別のキャラソンを歌い始める。
信じられないといった顔をした晴ちゃんに更に精神的に辛くなった。
そして、この1曲を歌いきる頃には虎さんは2匹になっている。
ちなみに命は取っていない、が、きっと動けない。
そのまま、更に別のキャラソンに移行。
唖然として歌が止まった晴ちゃんに空笑いしながら、虎さんを全部倒す。
歌い切ると同時に、私の衣装は元に戻り、さうも元のうさぎに戻った。
それから小さくなったさうを抱き上げ、胸の間に入れる。

あは、あはははは…視線を感じるなぁ。
晴ちゃんが翼を背中に生やして飛び上がる。
私は、壁に足をかけてその後を追いかけた。
あそこには居られない、無理怖い。
少しの出っ張りに二人で座って、話をする。

『晴ちゃんは此方の言葉話せるの?』
『ほんの少しなら…氷雨さんはどうやって学んだんですか?』
『去年1年間マッチさんたちに教えてもらったの。』
『1年?!氷雨さんそんな前から居るんですか?』
『いえ、こっちに来たのは10年以上前よ。人間界に来たのが1年ちょっと前なだけで。』
『…嘘。』
『ホントよ、貴女は、望んでこっちに来たの?』
『は、はい。』

彼女の話を要約するとこうだ。
ある日彼女はトリップすることになった。
そこに居たカミサマとやらに話を聞いたら、トリップの対価に年齢が必要だと。
それが6年。
晴ちゃんは原作時間に飛ばされるものだと思い、他の方法を聞いたそうだ。
聞いただけだったのだが、それが採用され、私もトリップすることになり。
私の分の対価は9年ちょっと。
結果、私は15歳若返り、10年此方で過ごしたと。
私の仮定は間違っていたみたいだ、ふむ、残念
能力については、彼女が望んだものだそうだ。
戦闘は出来ないと思った彼女は、他の能力をつけてもらいたく頼んだらしい。
それが、歌だとか。
しかし、その歌が効く範囲は自分のレベルに沿っているそうだ。
つまり自分のレベルと同等もしくはそれ以下になら大概聞くと。

…え?私さうと同じレベル?
あそこまで強くないと思うんだけど。
で、何処からともなくかかる曲は力の一環で、更に私が一説でも聞いたことある曲は歌えるらしい。
たしかに…思い出そうとすれば、キャラソン、アニソン、ヴィジュアル、J−POP、演歌まで歌える。
彼女は考え通り原作の時間軸で、美食會に飛ばされた。
多分、私が先にマッチさんに接触していたからだと思われる。
ちなみに、彼女はサニーが大好きであと滝丸少年とか、ボギーウッズとか、トミーロッドとか。
そういう系が好みらしい。

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