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「皆さん何やってるんですか?」
追いついたかと思えば、そこには熊さんたちと向い合う皆さん。
ぐるわああああ、と叫びながら、突進してきた熊さんにあらら、と呟く。
それから、マッチさんとトリコさん、あとシン、ラム、ルイの前に出た。
隠し持っていた薙刀を一瞬で組み立て、笑う。
びく、と止まった熊さんにくるくる、と薙刀を回しながら飛び上がった。
ふわり、髪がなびく。
突進してきた一匹を仕留めて、後ろに居た群れを見た。
「邪魔。」
ひとこと言えば、熊さんたちはがるる、と鳴きながら背中を見せる。
薙刀を抜いて、たたんだ。
ふう、一息ついてから後ろを振り向く。
一番に唖然としたトリコさんたちが視界に入った。
きょとん、と首を傾げる。
「流石だな、」
「?」
何が?と首を傾げたまま、マッチさんのところに戻った。
よくやったと頭を撫でてもらえて満足。
そのあと、今日はココで泊まることにしたらしく、テントを張る。
それからお湯を沸かして、白湯にして白銀グリズリーというらしい熊さんを皆が食べ始めた。
「氷雨さん、」
「なんです?」
「氷雨さんは食べないんですか?」
「そうですよ、お姉さん、昨日も何も飲んでないでしょう?」
小松さんと滝丸少年がじっとみてくる。
ついでにトリコさんも信じられないと言うような目で見てくる。
シン、ラム、ルイの3人はまたやったのかと眉をしかめた。
「氷雨、」
「マッチさん?」
名前を呼ばれて近寄れば抱きしめられる。
腕ごと抱きしめられて、ほとんど身動きが取れない。
なんだと、と顔を見れば意地悪く笑うその顔。
そして、言った。
「両手が塞がった。食べさせてくれるな?」
「…やられた、」
舎弟3人組がああ、アレか。と苦笑しながら、シンがさうを解放してくれた。
さうが私の口元に一切れの白銀グリズリーを持ってきてくれるのでそれを咥える。
そのままマッチさんの方に向き直った。
いいこだ、と笑ったマッチさんが反対側に食らいつく。
…まあ、ワイルドなポッキーゲームだと思ってもらえれば。
いや、うん、まあ、ね。
だんだん近づいてくる顔に緊張し目を伏せる。
私がどれだけ口に含んだか、しっかり見ていたのだろう。
唇が触れるくらいまで食べて、顔を離す。
私の口の中には残った2割の肉。
咀嚼しながら、羞恥で顔が上げられないため、マッチさんの胸に額を当てる。
ごくん、と飲み込んだのを感じたのだろう、正面の人が動く。
離されそうになった手を慌てて抑えて、真っ赤な顔を見られないようにした。