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「おまえ!なんでこの寒い中Yシャツしか着てねぇんだ?!」
「あーごめん、寒そうだよね。」
「ちげぇよ!!見えてんだよ、しかも際疾いし!」
「え?ああ、ごめんごめん。」
ブラと胸が見えてたのか、申し訳ないなー。
悪かったな、と言いながらボタンを留める。
シンが疲れたようにため息を吐いた。
「なんで、そんな反応薄いんだよ?」
「え?減るもんじゃないし…、むしろ見せてごめんみたいな。」
「お前は…はあ、」
「え、なんで溜息?」
反射的に見れば、未だに目をそらしている。
いじめか、いじめなのか。
ジト目で見るが、無視され、更にはさうと二人で話し始める。
「お前、よくあそこに居られるな…。」
「きゅー…。」
「圧迫されてんじゃねぇのか?」
「ぎゅいきゅーきゅう。」
「…そうか、お前も男なんだな。」
「きゅい!」
なんか仲良くなってる…。
いじめすぎる…。
「マッチさぁん!」
「?!なんだ、突然。」
「さうとシンがいじめるよー。」
マッチさんに泣きつくと、仕方ないな、と笑いながら頭を撫でてくれる。
自分から行ったのに恥ずかしくなって離れた。
シンの近くにいたルイが苦笑しながら近づいてくる。
あれは、仕方ないだろ、と言う彼にマッチさんが聞いた。
その言葉に、ルイが私に耳打ちする。
頷いて、ボタンを3つ外し、マッチさんの腕を引きながら名前を呼んだ。
マッチさんが顔を背ける。
「シンはこれを食らいました。」
「…そうか。」
ルイの言葉にそれだけ言うと、マッチさんは早く閉めろ、と言う。
はぁい、と返事をして、ボタンを閉めた。
なんかよくわからないが、私が悪いらしい。
いいもん、女の子に癒して…って、女の子いないんだった…。
さう…、もシンのところだし。
癒しがないのか、そうか、つらい。
なんて思っていれば、背中から、一枚毛皮がかけられる。
誰か近づいていたのは知っていたけど、誰?と振り向けば、マッチさんをオジさん呼ばわりする滝丸少年が。
おう?と思っていれば、そのまま巻き付けられる毛皮。
適当に巻き付けたのか、少年は首を傾げた。
「…あれ?」
「あ、ありがとうございます。」
「いえ、…お姉さん、細いですね。」
少年はそう言って、もう一度巻き直す。
今度は成功したのか、満足そうに笑う。
が、いやいや、この子何言ってるの?って言う印象しか得られぬのだが…。
まあ、でも褒めてくれたし感謝しておこう。
「ありがとう。」
「べ、別に、ただ毛皮が余ってたので!」