胸うさ | ナノ



2
しおりを挟む


「おまえ!なんでこの寒い中Yシャツしか着てねぇんだ?!」
「あーごめん、寒そうだよね。」
「ちげぇよ!!見えてんだよ、しかも際疾いし!」
「え?ああ、ごめんごめん。」

ブラと胸が見えてたのか、申し訳ないなー。
悪かったな、と言いながらボタンを留める。
シンが疲れたようにため息を吐いた。

「なんで、そんな反応薄いんだよ?」
「え?減るもんじゃないし…、むしろ見せてごめんみたいな。」
「お前は…はあ、」
「え、なんで溜息?」

反射的に見れば、未だに目をそらしている。
いじめか、いじめなのか。
ジト目で見るが、無視され、更にはさうと二人で話し始める。

「お前、よくあそこに居られるな…。」
「きゅー…。」
「圧迫されてんじゃねぇのか?」
「ぎゅいきゅーきゅう。」
「…そうか、お前も男なんだな。」
「きゅい!」

なんか仲良くなってる…。
いじめすぎる…。

「マッチさぁん!」
「?!なんだ、突然。」
「さうとシンがいじめるよー。」

マッチさんに泣きつくと、仕方ないな、と笑いながら頭を撫でてくれる。
自分から行ったのに恥ずかしくなって離れた。
シンの近くにいたルイが苦笑しながら近づいてくる。
あれは、仕方ないだろ、と言う彼にマッチさんが聞いた。
その言葉に、ルイが私に耳打ちする。
頷いて、ボタンを3つ外し、マッチさんの腕を引きながら名前を呼んだ。
マッチさんが顔を背ける。

「シンはこれを食らいました。」
「…そうか。」

ルイの言葉にそれだけ言うと、マッチさんは早く閉めろ、と言う。
はぁい、と返事をして、ボタンを閉めた。
なんかよくわからないが、私が悪いらしい。
いいもん、女の子に癒して…って、女の子いないんだった…。
さう…、もシンのところだし。
癒しがないのか、そうか、つらい。
なんて思っていれば、背中から、一枚毛皮がかけられる。
誰か近づいていたのは知っていたけど、誰?と振り向けば、マッチさんをオジさん呼ばわりする滝丸少年が。
おう?と思っていれば、そのまま巻き付けられる毛皮。
適当に巻き付けたのか、少年は首を傾げた。

「…あれ?」
「あ、ありがとうございます。」
「いえ、…お姉さん、細いですね。」

少年はそう言って、もう一度巻き直す。
今度は成功したのか、満足そうに笑う。
が、いやいや、この子何言ってるの?って言う印象しか得られぬのだが…。
まあ、でも褒めてくれたし感謝しておこう。

「ありがとう。」
「べ、別に、ただ毛皮が余ってたので!」

[前へ]/[次へ]

[ back to menu ][ back to main ]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -