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「どうした?」
ぐは、甘い。
甘すぎるよ…顔が真っ赤になるに決まってんじゃねーか、ばかぁあ!
特に何を言おうとしていた訳でもないのに、何も言えなくなる。
結果、何も言わずに首を左右に振った。
その瞬間、何か聞こえた気がして、ちら、と他の皆さんがいる方向を見る。
小松さんと滝丸くん以外がサムズアップ。
……あの3人が広めやがったな。
めちゃくちゃいい笑顔していやがる…。
ふざけんなあいつら、てか、他の皆さんはなんなの?あほなの?
一応、ライバルだろうが、何和んでんだよ。
しかも、他人の恋愛ごとだぞ?少女漫画みたいな恋ならまだしも、両方20代なんだが。
どういうことだ。
濡れ場でも期待してんのかよ、くそぉっ。
思いついた。
「マッチさん、さうのところ行ってくる。」
「あ?」
「ちょっと、伝えることがあるの、だめ?」
「3分で帰ってこい。」
「はぁい。」
離れて、片足で跳び上る。
その瞬間、ニヤニヤしていた3人組に勝ち誇ったように笑う。
私の意図に気がついたのか、少し悔しそうな顔をしてから、もう一度サムズアップ。
…え?勘違い?アイツらサムズアップしてない?
うん?首を傾げながら、上に登る。
「さう。」
「きゅー?」
「仮面になってもらうかもしれない。」
「ぎゅあ!」
「遠くに力を感じるんだけどね…想像より多いんだよー。」
「はあ…ぎゅい!」
「え、はあ…?!今喋ったよね、完璧に溜息じゃん、はあって。」
「ぎゅあー!」
なんて騒いでいれば、3分経っていたのか、背後にマッチさんがいた。
…アイツらのサムズアップはこういうことだったのか。
風上にでっかいさうが立っていてくれているので、私もマッチさんも凍らない。
マッチさんは笑って、降りるぞ、と私の手を引いた。
「さう、もう少し頼むな。」
「ぎゅい!」
敬礼まで出来るのか、さう…。
ビックリしたよ、この数分で新しいさうが発見できてよかったけど。
なんて思っていると、そのまま抱き上げられて、穴の中に降りる。
ちょ、横抱き、とかされたら、ヒヤヒヤしかしないんだが。
特に音も立てずに着地したマッチさんに放してもらう。
「いつも思うが、身長にしては軽くないか?」
「いや、普通だと思いますけど…。」
「俺の半分くらいだろう?」
「多分もっと重いと…。」
いや、マッチさんの半分てどんだけだよ。
身長と体格から考えて…100は無いでしょ、ってことは、うーん…90くらい。
その半分、45?
いやいやいやいや、そんな軽くねぇし。
おかしすぎるだろ、なにそれ、そんな軽くない。
なんて考えているともう一度持ち上げられる。
「っ?!」
「ほら、軽いじゃねぇか。」
「いきなり、持ち上げるのは…いかがかと、思います。」
「フッ、少し寝る、膝がしびれたら起こせよ。」
「ちょ、それ、膝枕決定じゃないですか!」