胸うさ | ナノ



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「俺の名前はマッチ、お前は?」

そういいながら、カタカナでマッチ、と書いてくれる。
ああ、やっぱりマッチさんなんだ。
なんて思いながら、文字を書く。
それを指差し、自分に向けた。
声を出す。

「氷雨。」
「氷雨?お前の名前か?」

こくり、1つ頷く。
そうか、と眉を寄せたマッチさん。
何で此処に来た?と言う質問にボールペンを取る。

<ひとに道を聞いたとおりに来たら、此処についた。>
「は?人にって、どんな奴だよ。」
<師匠。恐ろしく強い。まっすぐ進めといわれた。>
「まっすぐって、そんな大雑把な…。何か欲しいもんでもあるのか?」
<別に、人間に会いたいって言ったら、こうなった。>
「…人間に、ねぇ?お前、人間じゃねぇのか?」
<わからない、一応人間だと思っている。>

あ、マッチさんが頭を抱えた。
ごめんなさい、意味わからなくて。

<此処の人たちに危害は加えない。この辺で、生きている食材が豊富な場所は無いか?>
「あ?猛獣で良けりゃ知ってるけどよ。」
<知っているなら教えていただきたい。こう見えてもある程度力はある。>
「…わかった、いくぞ。」

席を立った彼は誰かを呼ぶ。
呼ばれた3人はまっすぐに私を見た。
怖いんだけどもお兄さんたち…。
とりあえず、ぺこりと頭を下げておく。
あ…もしかして、原作でマッチさんと一緒にいた3人かな?
うん、それがわかったところで怖さは変わらないよね。

4人に連れられてついたのは、荒れ地。
確かに獲物がいそうだねぇ…。
4人の前に出て、鼻を利かせる。
うーん、まあ、居そうかな。
くるり振り返って、微笑む。

「ありがとう。…待ってて。」

正面に向き直った。
髪をまとめ、ハーフアップに。
それから、折りたたみ式の薙刀を形にする。
そのまま飛び上がり、ちらり、と見えた獲物に落ちながらノッキングする。
あ、やば、力強すぎた…?

『セーフ…。』

ちょっと吹っ飛んだだけですんだよー。
良かった良かった。
それを取りに行き、片手で持ち上げる。
うん、彼方の世界で言う、15kgくらいかなぁ?
でかくて嵩張るけど、そんな重くないし。
彼らの元に戻る。
驚いた顔をしている彼らの前に、それを置いた。

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