初めての人間界
なんか、よくわからないけど、ネロに教えられたとおりに来たら、すげー壁越えたんだけど。
これでいいんだよね?
ダメって言われてもどうもできないし。
つか、言われても面倒。
しかも、此方側異常に平和な感じなんだけど、なんで、此方側に落ちなかったの私。
つらい。
…とりあえず、移動しますか。
ネロたちから人間が話す言葉を少し学んだし、何となくならいけるんじゃない?
なんていう希望的観測をもって。
『どうしようかー、ね、さう?』
「きゅいー。」
あれ、なんか、スラム?って感じ?
うーん、ここじゃぁ、多分、狩りは無理だよねー。
人間を狩る気はないしさー。
これでも一応人間だったし。
今も人間のつもりだけど、流石に3週間水分摂取なしで生きられるから、人間じゃないのかもって思って。
つーか、正確には3週間で水分とれたから3週間ってだけで、実際何日?何週間?生きられるのかわかんないんだよね。
あと食事も然りだったり。
3ヶ月断食っていうか、お腹減らなかったから何も食べなかったんだけど。
3ヶ月くらいでお腹が減るだけで、もしかしたら、もっと食べずに生きてられるのかもしれないよね。
…わお、人間じゃなくなってるよね。
「誰だ。」
「?」
考え事していたら目の前にいたのは傷だらけのお兄さん。
うわー、イケメン。
…ていうか、人間だ!
「人間…?」
「は?テメェなに言ってやがる?」
リスニング苦手なんだけど…言ってることは何となくわかった。
つまり、私の人間?発言の意味が分からないんだよね?
うん、そのはず、違ったらどうしようもない。
「…此処、何処?」
「、ネルグ街だ。」
ネルグ、ネルグ…わかんねぇなぁー。
…いや、覚えてる。
うは、もしかして、この人マッチ?だっけ?っていう人じゃ…。
うん、とりあえず、強い人だったよね。
喧嘩売るのはやめよう。
そう決めて、当初の目的を聞く。
「狩り、する…ところ、獲物…?」
「お前、喋れねぇのか?」
う、話すのが出来ないってことだよね。
仕方ない頷くしか無いだろ、これ。
こくり、1つ頷いておく。
彼は、そうか、と小さく呟いて、迷うように視線を泳がせた。
が、何か決まったのか、此方を静かに見据える。
くそ、かっこいい。
「ついてこい。」
「?」
え、ついてくの?
なんて思いながら、あとを着いていく。
子供たちが不審者を見る目で私を見てくる。
まあ、そうですよね。
それ以外に向ける目はないですよね。
なんて、思いながらマッチさん(仮)の後ろを歩く。
目の前には1つの建物。
「入れ。」
扉を開けてくれているマッチさん(仮)に会釈をして入る。
中は綺麗に整えられていて、そのまま、リビングらしきところに案内された。
紙とボールペンを目の前に出される。