正義 | ナノ



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外から差し込む光で目を覚ました。
ゆっくりと準備をしてから執務室に向かう。
扉を開けてすぐ待ち受けていたのか、目の前でニコニコとしたミロさんに今日は食事会だからね!と宣言された。
さて、その時の気持ちを10文字以内で表してみよう。
なんだそれ。
半分の文字数で済んだが、これに尽きる。

「えっと…お昼?」
「あ、ごめん、夜!ここで」
「ここで?!」

思わず叫んでしまった。
準備とかそういうのどうするつもりなんだろう。
っていうかそもそも食事会ってなんの理由で開催されるんだろ?
そんな話をしていたら、驚いたようにカミュがこちらを見た。

「知らなかったのか」
「え、はい…知ってた方がいいことでした?」
「いや、君が悪いのではない。ミロ!!!」

もし彼女に予定があったらどうするつもりだったんだ!とカミュは険しい顔で告げる。
いや、まあ、ここで予定が入ることって滅多にないんだけどね?
そもそも今日は夕食会なしなって言われてないから普通にいつも通りだと思っていた。
え、じゃあ、今日は夕食なしなの。
順番で行くと私がご飯当番だったんだけど…え、何作らなくていいの?それとも一回飛ばし?
困惑していると、私の困惑を察したらしいディーテさんがにっこりと笑う。

「大丈夫だよ、明日はシュラの番になるから。一回休み」
「え、いいの?」
「もちろん、氷雨はゆっくりして?今日は君のための歓迎会だし」
「ん?!」

私のための歓迎会?今頃になって?
とは思ったけど、そうか、初期は険悪だったもんな、私とアイオロスさん筆頭に…いや別に今は仲良しとかいうつもりはないけど。
そのあとは仕事一直線からの双子の騒ぎがあって、ロスリア兄弟の問題、と。
他にも色々あったけど、何が一番恐ろしいかって、これがほとんど一ヶ月で行われたという事実だよね。
うん…この時期になっても致し方ない。
納得したところで、何か準備は必要かと問う。
ここでするってことは、別にドレスコードかはないとは思うけど、聞いておいて損はないだろうし。

「特にないかな。それから、全員参加の予定だよ」
「全員?」
「黄金全員」

ディーテがくすくすと上品に笑いながら目を細めた。
そうなんですね、と返事をしながら、それなら本当にもっと早く連絡が欲しかったと心底思う。
全員参加であることはいいとしても、ミロさんから私に話がきたってことは、中心はミロさん。
夕食会の話は出てなかったけど、ディーテに言われたことを考えれば、多分、話は回ってるのだろう。
私の番を飛ばしてシュラの番になるっていうのも、勝手には決められないだろうから、知っていると考えていい。
最後に、執務室を使う、ということは、ここに仕事を溜め込んでいるサガさんやカノンさんも把握しているということだろう。
うん…知らなかったのはきっと私だけなのだろう。
サプライズしてくれたのだと、好意的に受け取ることにして、これからのことを考えることに集中した方がいいかな。
仕事に関してはいつも通りでいいとは思うのだけれど、それ以降が問題だ。
別に必要はないとは思うけれど、私のための食事会なら、感謝の気持ち的な何かが必要だろうか。
…これから宜しくっていうわけでもなく、後1ヶ月半ほどすれば、私はここから出て行くことになるわけだし、一方的に歓迎だけされるとかっていうのはちょっと申し訳ない気持ちになる。

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