正義 | ナノ



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「どうかしました?」
「いや、なんでもねぇよ。いくぞ」
「…まあ、いいけど」

あまり良くないけど、いう気がなさそうだし、我慢ぐらいできる。
そのまま抱き上げてもらって、磨羯宮まで連れて行ってもらう。
黙々と料理をしていたシュラが、私を見て料理の手を止めて近づいてきた。
デスとは妙な空気になることはなく、私の頭をぽん、と撫でて無言のまま料理作りに戻っていく。
…なるほど、ディーテが何かしてくれたらしい。
優雅にワインを飲んでいるディーテに笑って、口パクでありがとう、と伝えておく。
ディーテはにっこりと綺麗な笑顔を返してくれた。


昨日の食事後も特に変な空気になることはなかった。
ディーテはすごいな、と思いながらも、注意深くシュラとデスを観察したつもりだ。
無理とかしていつも通りにしているわけではないのだろうか、と思ったから。
それでも、どちらも私と目が合えば柔らかな顔をしてくれたし、私と目が合わない時も、変な空気にはなっていなかった。
別のところに目を向けられるようになったから、私よりも親しいディーテが言っていたことにきっと嘘はないのだろう。
さて、昨日のことの考えはここまでにして、誕生日プレゼントの完成を急ぐ。
多分二人とも執務室にはいるだろう。
そう思って、サガさんへのプレゼントとカノンさんへのプレゼントを確認する。
カノンさんへはお酒とそれに合うつまみ。サガさんへは悩んだのだけれど、お弁当箱とマグと紅茶のセットでついでにお弁当、という感じだ。
サガさんについては主に休憩してくれセットとも言える。
間違いなく入れられてるのを確認してから、それを持って執務室へ向かう。
実は今日はお休みをいただいている。
執務室を少しだけ開けて覗き込む。
サガさんもカノンさんもいるのを確認して、執務室に入ったら、何故かロスリア兄弟と珍しくいるシオン様からめっちゃ視線を受けた。
すっと視線をそらして、サガさんとカノンさんの元へ向かって気がつく。
あのさ…なんで誕生日に入れ替わるっていうよくわからないことをしているのかな、え、なに、あの3人は私が見分けられるか監視してるの?
とりあえず、どちらからいくべきかと悩むが、サガさんにお弁当くれって言われてたわけだし、サガさん優先でいいか。
近づいて、じっと顔を見つめる。

「お誕生日、おめでとうございます。サガさん」
「ああ!ありがとう」

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