正義 | ナノ



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ぼーっとしながら、体を起こす。
ベッドにいる状態で、一度ため息をついた。
“私”が考え込みすぎていてこちらの声に反応してくれないので困る。
昨日は彼らが気にしないということで、わたしがそのまま年中組と食事したのだが…。
いい加減起きてくれないと、こちらが面倒だ。
今日は休みなのが、救いだろうか…いや、救いでもなんでもないな。
彼らと関わらないために外に出たいが、外に出るためには彼らのうちの誰かと関わらなくてはいけない。
だったらいっその事部屋にこもっていた方がわたしの心の安寧には役立つだろう。

「だる…めんど…」

二度寝しようか、ともう一度ベッドに横になる。
今日丸一日寝て過ごせば、明日にはちゃんと出てくると信じよう。
そう思って丁度いいポジションを探していれば、響くノック音。
あー…と唸るように声を上げて、ベッドから立ち上がる。
扉の近くに寄って、扉を開けないまま声をかける。

「誰?何?」

不機嫌そうに響く寝起きの声に、内心女としてどうだろう、相手によっては説教コースか?なんて思いながら、問いかける。
が、問いかけへの答えに深いため息を吐いてから、ちょっと待っててください、と告げてから適当に上着を羽織って扉を開く。
目の前にいたのは、獅子座と射手座。
私の姿を見てぎょっとしたような顔をする獅子座と、にこやかな笑みを浮かべる射手座は対照的な兄弟に見える。
が、根本では私の今の姿に対する反応なので、見る場所は同じなのだろう。

「あと10分待って」

一方的にそれだけ告げて、すぐに身支度を整える。
食事はできないが、もともとわたしはそんなに大食いじゃない。
服は…面倒だから双子座兄のチョイスでいいだろう。
準備を終えて、一応ベッドも整えてからもう一度扉を開いた。

「何の御用件で?」
「君に答えを聞きたくて」
「…あ?答え?」

何か問題は出していただろうか?
首を傾げて二人の顔を見やれば、獅子座が難しい顔をしていた。
…これは休日が潰れるな、と確信しながらも肩をすくめて部屋に招き入れるのは怒られるからなぁと頭をかく。
別にわたしは気にしないのだが、それで怒られるのは嫌だ。
少し悩んだように視線を彷徨わせてから、仕方ないとため息をついた。

「話は聞く、がここで立ち話はするつもりはない。それからこの部屋に入れるのも後々怒られるから却下だ」
「じゃあ、俺の部屋に行こうか」

ニコニコと楽しそうな顔を崩すことなく、射手座はわたしの腕を引っぱる。
不意をついたそれにあっさりと引き寄せられ、そのまま軽々と抱き上げられる。
近くなったその顔はまっすぐにわたしを見ており、つい眉を寄せる。
そんなわたしの顔の変化も面白いと言いたげに、声を出して笑った射手座はそのまま彼らにとってはゆっくりの部類に入るだろう速度で走り出した。

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