正義 | ナノ



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「私も、楽しい時間を過ごせましたから」
「料理好きなんですか?」

返ってきた言葉に不思議に思って聞いてみれば、それを肯定する反応。
聞けば何かを作り出すことが好きなようだった。
だからこそ、大変な聖衣の修復とかも続けられているんだろう。
一人勝手にそう納得して、出来上がった料理を二人でリビングに運ぶ。
座って待機しているシャカさんとアルデバランさん、それから貴鬼くん。
全員の前に料理を置いて、席に着いた。
目の前の貴鬼くんがじっと私を見ている。

「どうぞ、召し上がってくださいな」

にこりと笑って、自分は手を合わせる。
いただきます、と静かに告げると、貴鬼くんがにっこり笑って手を合わせた。
なんだろうと思っていたら、大きな声で告げる。

「いただきます!」

ぱちり、瞬いてからへらりと笑う。
どことなく嬉しい気分になる。
食べ始める貴鬼くんは、美味しそうにしてくれていてとても嬉しい。
ついでにちらりとシャカさんたちを見れば、彼らも特に微妙な顔をすることもなく食べてくれている。
…正直、ほっとした。
安心しながら、食事を始める。
もぐもぐしながらも、ふと気がつくと、異様なほどにシャカさんの前のおかずが減っている。
アルデバランさんの食事量が多いのはわかってるからいいんだけど。
なんてぼんやり考えながらもどんどんと減っていく食事にすごいなぁとただただ感心する。
聖闘士の皆さんの食事量が多いのはやはり、小宇宙云々の所為なのだろうか?
何となくそんな気がする。
気がするだけだけど、そうじゃないとシャカさんとかディーテとかがあの肉体を維持できる理由がわからない。
ふと気がつくと、私と貴鬼くん以外の皆様が食事を終えていた。
私食べるのむしろ早い方だったと思ったんだけどなー、と首を傾げながらも、問いかける。

「食事、足りました…?」
「うむ、満足したぞ」
「大変だっただろう?ありがとうな」

シャカさんとアルデバランさんの言葉にへらりと笑う。
満足してくれたようで良かった。
もう一度手を合わせて、ごちそうさまでしたと告げてから、席を立つ。
デザートとして作ってあった桜餅的な何か(塩漬けの葉を巻いていない)を貴鬼くんに運んだ。
嬉しそうに笑ってくれた彼の顔に癒されていると、視線を感じる。
無言で訴えるのはやめてほしいんだ。
伝わらないから、言葉ってかなり重要だから。
なんて思いながらも、へらりと笑って、視線を送ってきているシャカさんにも差し出す。

「お口に合うかわかりませんが…ムウさんとアルデバランさんも良かったらどうぞ」

日本的な味だから、何度か食べたことのある貴鬼くん平気だろうけど…。
あんこだし、サクラ風味だし…かくいう私も小さい頃苦手だったし。
主に、苦手なのは葉っぱだったけれど…あれ、人によって食べる食べないが別れるよね。
閑話休題。
どうやら、好きか嫌いかは置いておいても食べられないことは無さそうだ。

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